专利摘要:
本発明は、癌、自己免疫疾患、線維性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、感染症、肺疾患、心臓および脈管の疾患ならびに代謝性疾患を予防および/または治療するための治療剤としての、Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-Trp-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2のペプチド化合物の使用に関する。さらに、本発明は、Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-Trp-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2のペプチドと、必要に応じて少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリア、凍結保護剤、分散保護剤、賦形剤および/または希釈剤とを含んでいる、好ましくは凍結乾燥物、緩衝液、人工母乳製剤、または母乳代替物の形態である薬学的組成物に関する。
公开号:JP2011505335A
申请号:JP2010523347
申请日:2008-09-09
公开日:2011-02-24
发明作者:カヴァリ,ヴェラ;カヴァリ,ファビオ;バッヒャー,ゲラルド;ベヴェック,ドリアン
申请人:モンドバイオテック ラボラトリーズ アクチエンゲゼルシャフト;
IPC主号:C07K7-06
专利说明:

[0001] 本発明は、癌、感染症、線維性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、または心臓および脈管の疾患を、予防および/または治療するための治療剤としての、Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-Trp-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2((Trp6)−トリプトレリン((Trp6)-Treptorelin))のペプチド化合物の使用に関する。]
[0002] 〔背景技術〕
疾患の予防および/または治療に効果的な治療化合物は、生物学的アッセイでの化合物の活性に基づいて同定され得る。疾患の原因となるメカニズムを模倣する生物学的アッセイを用いることによって、候補となるペプチドの治療活性を試験することができる。]
[0003] 多くの疾患の原因となるメカニズムは、生物学的な経路の過剰な活性である。生物学的な経路の活性を減少し得るペプチドは、生物学的な経路の過剰な活性によって引き起こされる疾患の予防および/または治療に効果的であり得る。同様に、多くの疾患の原因となるメカニズムは、生物学的な分子の過剰な産生である。生物学的な分子の産生を減少し得るか、または過剰に産生された生物学的な分子の活性をブロックし得るペプチドは、生物学的な分子の過剰な産生によって引き起こされる疾患の予防および/または治療に効果的である。]
[0004] 逆にいえば、多くの疾患の原因となるメカニズムは、生物学的な経路の活性の低下である。生物学的な経路の活性を増加し得るペプチドは、生物学的な経路の活性が低下することによって引き起こされる疾患の予防および/または治療に効果的である。また同様に、多くの疾患の原因となるメカニズムとして、生物学的な分子の産生が減少していることが挙げられる。生物学的な分子の産生を増加し得るか、または産生が減少した生物学的な分子の生物学的な活性を模倣し得るペプチドは、生物学的な分子の産生の減少によって引き起こされる疾患の予防および/または治療に効果的である。]
[0005] 本発明の目的は、癌、自己免疫疾患、線維性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、感染症、肺疾患、心臓および脈管の疾患、ならびに代謝性疾患を、予防および/または治療するためのペプチド化合物を提供することである。]
[0006] 本発明の目的は、独立請求項の教示によって解決される。本発明のさらなる有利な特徴、態様および詳細は、従属請求項、ならびに本明細書および実施例の記載から明らかである。]
[0007] 〔発明の説明〕
本発明は、Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-Trp-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2((Trp6)−トリプトレリン)のペプチドの使用に関し、医薬における治療剤としての、このペプチドの使用に関する。また本発明は、癌、自己免疫疾患、線維性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、感染症、肺疾患、心臓および脈管の疾患、ならびに代謝性疾患を、治療および/または予防するためのこのペプチドの使用に関する。また、本発明のペプチドを含んでいる薬学的製剤が開示される。この薬学的製剤は、凍結乾燥された形態、緩衝化された液剤の形態、または人工母乳製剤の形態であることが好ましい。本発明のペプチドは、肺炎連鎖球菌感染症、肺炎連鎖球菌感染症関連疾患、溶血性尿毒症症候群、肺炎、髄膜炎、嚢胞性線維症の合併症、中耳疾患、血流の感染症、ならびに以下に記載の他の病気を予防および/または治療するために特に有用である。]
[0008] さらに、本発明は、上述したペプチドおよびPyr-His-Trp-Ser-Tyr-D-His(Bzl)-D-Leu-Arg-Pro-NHEtのペプチド化合物のペプチドの組合せに関し、また、このペプチドの組合せを含む薬学的組成物に関する。]
[0009] 〔癌、腫瘍、増殖性の疾患、悪性腫瘍、およびこれらの転移〕
本明細書において使用される場合、用語「癌」は、腫瘍、増殖性の疾患、悪性腫瘍、およびこれらの転移をいう。癌としては、腺癌、脈絡膜の黒色腫、急性白血病、聴神経鞘腫、膨大部癌、肛門癌、アストロサイトーマ、基底細胞癌、膵癌、類腱腫(desmoid tumor)、膀胱癌、気管支癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、乳癌、バーキットリンパ腫、子宮体癌(corpus cancer)、CUP症候群(未知の原発性癌)、大腸癌、小腸癌、小腸腫瘍、卵巣癌、子宮内膜癌、脳室上衣腫、各種の上皮癌、ユーイング腫瘍、胃腸の腫瘍、胃癌(gastric cancer)、胆嚢癌、胆嚢の癌腫、子宮癌、子宮頸癌、頚癌(cervix)、膠芽腫、婦人科腫瘍(gynecologic tumor)、耳鼻咽喉科腫瘍(ear, nose and throat tumor)、血液学的な新形成、ヘアリー細胞白血病、尿道癌、皮膚癌、皮膚精巣癌(skin testis cancer)、脳腫瘍(神経膠腫)、脳転移、睾丸の癌、脳下垂体の腫瘍、カルチノイド、カポジ肉腫、喉頭癌、胚細胞腫瘍、骨の癌、大腸の癌腫、頭部および頸部の腫瘍(耳、鼻および咽の領域の腫瘍)、結腸癌、頭蓋咽頭腫、口腔癌(口の領域の癌および唇の癌)、中枢神経系の癌、肝癌、肝転移、白血病、眼瞼腫瘍、肺癌、リンパ節癌(ホジキン病/非ホジキンリンパ腫)、リンパ腫、胃癌(stomach cancer)、悪性黒色腫、悪性の新形成、胃腸管の悪性腫瘍、胸部の癌腫、直腸癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、ホジキン病、菌状息肉腫、鼻腔癌、神経鞘腫、神経芽腫、腎臓癌、腎細胞癌、非ホジキンリンパ腫、乏突起膠腫、食道の癌腫、溶骨性の癌、骨形成性の癌、骨肉腫、卵巣の癌腫、膵臓の癌腫、陰茎癌、形質細胞腫、頭部および頚部の扁平上皮癌(SCCHN)、前立腺癌、咽頭癌、直腸の癌腫、網膜芽腫、膣癌、甲状腺癌、シュネーベルガー疾患、食道癌、棘細胞癌、T細胞リンパ腫(菌状息肉腫)、胸腺腫、管の癌、眼腫瘍、尿道癌、泌尿器学的な腫瘍、尿路上皮癌、外陰部の癌、いぼ様の物体、軟部組織腫瘍、軟部組織の肉腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸部癌および舌癌が挙げられる。]
[0010] 本発明のペプチドおよびペプチドの組合せは、癌、増殖性の疾患、腫瘍、およびこれらの転移の予防および/または治療における活性な治療剤としての効果について、実施例1〜7、9〜17に記載のアッセイを用いて試験された。]
[0011] 〔感染症〕
高等脊椎動物の免疫系は、各種疾患の原因物質である微生物(細菌、菌類およびウイルスなど)といった、脊椎動物の体内に侵入し得る種々の抗原に対する防御の最前線となっている。]
[0012] 予防接種プログラムが大規模に実施されているにもかかわらず、ウイルス感染症は依然として、世界中の病的不全および死亡の深刻な元凶となっており、老化または種々の臨床症状に付随する免疫不全を有する人々に疾患および死を引き起こす重大な原因となっている。このようなウイルス感染症としては、インフルエンザウイルスの感染症、ヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)の感染症、単純ヘルペスウイルス(「HSV」、1型または2型)の感染症、ヒトパピローマウイルス(「HPV」、16型または18型)の感染症、ヒトサイトメガロウイルス(「HCMV」)の感染症、またはB型肝炎ウイルス(「HBV」、B型)の感染症もしくはC型肝炎ウイルス(「HCV」、C型)の感染症などが挙げられる。アマンタジンおよびリマンタジンなどの化合物を用いた抗ウイルス化学療法は、臨床的な感染症(即ち、インフルエンザウイルス)の症状の持続を低減させることが示されているが、重大な副作用が生じたり、薬剤に耐性のある変異体が出現したりすることが知られている。インフルエンザのノイラミニダーゼといった特定のウイルスタンパク質を標的化するように設計された、新しい種類の抗ウイルス剤が開発されている。しかし、ウイルスはこの標的となるタンパク質を突然変異させることができるため、特定のウイルスポリペプチドの機能を選択的に阻害する分子を用いて効果的に治療することは困難である。このため、ウイルス感染症を予防および治療するための新しい治療戦略が必要とされている。]
[0013] さらに、細菌感染症(特に多剤耐性細菌によって引き起こされる細菌感染症)を予防および治療するための新しい治療法が必要とされている。目下のところ、細菌感染症は種々の抗生物質を用いて治療されている。抗生物質は、種々の細菌感染症の治療に効果的であり得るが、抗生物質の有効性および安全性には多くの制限が存在する。例えば、ある種の抗生物質に対してアレルギー反応を示す個体もいれば、重篤な副作用を被る個体もいる。その上、細菌感染症を治療するために抗生物質を連続的に使用することは、細菌の抗生物質耐性株を生じさせる一因となる。]
[0014] 本発明の別の態様は、感染症(日和見感染症も包含する。)を予防および/または治療するためのペプチドの使用に関する。]
[0015] 感染症としては、例えば、AIDS、多包虫症(AHD、エキノコックス症)、アメーバ症(エントアメーバヒストリティカの感染)、住血線虫属の感染、アニサキス症、炭疽病、バベシア症(バベシア属の感染)、バランチジウムの感染(バランチジウム症)、バイリスアスカリス属の感染(アライグマの回虫)、ビルハルツ住血吸虫症(住血吸虫病)、ブラストシスティスホミニス(Blastocystis hominis)の感染(分芽菌症)、ボレリア症、ボツリヌス中毒、ブレーナード下痢症(Brainerd diarrhea)、ブルセラ症、牛海綿状脳症(BSE)、カンジダ症、毛頭虫症(毛頭虫の感染)、慢性疲労症候群(CFS)、シャガス病(アメリカトリパノソーマ症)、水痘(水痘帯状疱疹ウイルス)、肺炎クラミジアの感染、コレラ、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、肝ジストマ症(肝ジストマの感染)、皮膚幼虫移行症(CLM)(鈎虫の感染)、コクシジオイデス症、結膜炎、コクサッキーウイルスA16(手足口病)、クリプトコッカス症、クリプトスポリジウムの感染(クリプトスポリジウム症)、イエカ(西ナイルウイルスのベクター)、シクロスポラ症(cyclosporiasis)(シクロスポラの感染)、嚢虫症(神経嚢虫症)、サイトメガロウイルスの感染、デング熱/デング出血性熱、ディピリジウムの感染(イヌおよびネコのノミのサナダムシ)、エボラウイルス出血熱、脳炎、エントアメーバコリの感染、エントアメーバディスパーの感染、ハルトマンアメーバの感染、エントアメーバヒストリティカの感染(アメーバ症)、エントアメーバポレッキの感染、蟯虫症(蟯虫の感染)、エンテロウイルスの感染(急性灰白髄炎ではない。)、エプスタイン−バーウイルスの感染、Escherichia coliの感染、食品媒介感染(foodborne infection)、口蹄病、菌による皮膚炎、胃腸炎、A群連鎖球菌感染症、B群連鎖球菌感染症、ハンセン病(らい病)、ハンタウイルス肺症候群、アタマジラミの外寄生(シラミ寄生症)、ヘリコバクターピロリの感染、血液病、ヘンドラウイルスの感染、肝炎(HCV、HBV)、帯状疱疹(帯状ヘルペス)、HIVの感染、ヒトのエールリヒ病、ヒトのパラインフルエンザウイルスの感染、インフルエンザ、イソスポラ症(イソスポラ属の感染)、ラッサ熱、リーシュマニア症、カラアザール(カラアザール、リーシュマニア属の感染)、シラミ(ヒトモジラミ、アタマジラミ、ケジラミ)、ライム病、マラリア、マールブルグ出血熱、麻疹、髄膜炎、蚊が媒介する疾患、Mycobacterium avium complex(MAC)の感染、ネグレリア属の感染、院内感染、非病原性の腸アメーバの感染、オンコケルカ症(河川盲目症)、オピストルキス症(オピシトルキスの感染)、パルボウイルスの感染、ペスト、ニューモシスティスカリニ肺炎(PCP)、急性灰白髄炎、Q熱、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の感染、リウマチ熱、リフトバレー熱、河川盲目症(オンコケルカ症)、ロタウイルスの感染、回虫の感染、サルモネラ症、腸炎菌、疥癬、細菌性赤痢、帯状ヘルペス、睡眠病、疱瘡、連鎖球菌の感染、条虫の感染(テニア属の感染)、破傷風、トキシックショック症候群、結核、潰瘍(消化性潰瘍疾患)、渓谷熱、腸炎ビブリオの感染、ビブリオバルニフィカスの感染、ウイルス性出血熱、いぼ、水により伝染する感染症、西ナイルウイルスの感染(西ナイル脳炎)、百日咳、黄熱病が挙げられる。]
[0016] 本発明のさらに別の態様は、プリオン病を予防および/または治療するためのペプチドの使用に関する。]
[0017] プリオンは、核酸のゲノムを有していない感染物質である。プリオンは、タンパク質のみが感染物質であると考えられている。プリオンは、「核酸を改変する手段による不活性化に抵抗する、タンパク質性の小さな感染粒子」として規定される。タンパク質単独で感染症を媒介し得るという発見は科学界に相当な驚きをもたらした。プリオン病は、死亡後の脳の皮質および小脳に巨大な空胞が存在しているので、しばしば「感染性海綿状脳症」と呼ばれる。大部分の哺乳動物種がこの疾患を発症すると考えられる。プリオン病は、ヒトおよび動物の、一群の神経変性疾患であり、プリオン病は、散発性疾患、遺伝病または感染症として発症し得る。外因性の感染によってもたらされるプリオン病は、例えば、動物のスクレイピー、ならびに畜牛の牛海綿状脳症(BSE)、およびBSEによって引き起こされる新変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)である。ヒトプリオン病としては、例えば、クールー、散発性のクロイツフェルト−ヤコブ病(sCJD)、家族性のCJD(fCJD)、医原性のCJD(iCJD)、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー(Gerstmann-Straussler-Scheinker(GSS))病、致死性家族性不眠症(FFI)、および特に新変異型CJD(nvCJDまたはvCJD)が挙げられる。]
[0018] 名称「プリオン」は、感染性海綿状脳症の原因物質を記述するために用いられる。プリオンは、ウイルスともウイロイドとも異なる新規の感染粒子であると提唱されている。プリオンは、熱、放射線およびプロテアーゼなどのほとんどの不活性化手段に抵抗する、独特な1つのタンパク質から構成されている。プロテアーゼを用いた不活性化手段に抵抗するという特徴から、プリオンタンパク質の用語「プロテアーゼ耐性アイソフォーム」が導かれる。プロテアーゼ耐性アイソフォームは正常なプリオンタンパク質を異常な形態へ転換することを徐々に触媒する、ということが提唱されている。]
[0019] プリオンの観点にて用いられる用語「アイソフォーム」は、正確に同一のアミノ酸配列を有する2つのタンパク質を意味し、これらは、劇的に異なる3次構造を有する分子にフォールディングされ得る。プリオンタンパク質の正常な細胞性アイソフォーム(PrPC)は、αへリックスの含有量が高く、βシートの含有量が低く、プロテアーゼ消化に感受性である。疾患を引き起こす異常なアイソフォーム(PrPSc)は、αへリックスの含有量が低く、βシートの含有量が非常に高く、プロテアーゼ消化に対する耐性が非常に高い。]
[0020] 本明細書において使用される場合、用語「プリオン病」は感染性海綿状脳症のことをいう。プリオン病としては、例えばスクレイピー(ヒツジ、ヤギ)、伝染性ミンク脳症(TME;ミンク)、慢性消耗病(CWD;ミュールジカ、シカ、ヘラジカ)、牛海綿状脳症(BSE;乳牛、ウシ)、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、変異型CJD(vCJD)、散発性のクロイツフェルト−ヤコブ病(sCJD)、家族性のCJD(fCJD)、医原性のCJD(iCJD、ゲルストマン−ストロイスラー−シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)、およびクールーが挙げられる。BSE、vCJDおよびCJDが好ましい。]
[0021] 〔肺炎連鎖球菌感染症〕
肺炎球菌としても知られている肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)は、α溶血性双球菌であり、健康な人の鼻および喉によく見つかる、密接な接触によって人から人へと広がる連鎖球菌属のメンバーである。肺炎球菌は、鼻炎および耳感染など、軽度の病気の一般的な原因であるとともに、肺炎、髄膜炎、血流の感染症、急性副鼻腔炎、中耳炎、骨髄炎、敗血症性の関節炎、心内膜炎、腹膜炎、心外膜炎および脳膿瘍など、生死に関わる感染症の原因でもある。多くの菌株が抗生物質に耐性である。肺炎連鎖球菌は、成人および子供における細菌性髄膜炎の最も一般的な原因であり、また、中耳炎において最もよく見つかる二つの単離株のうちの一つである。肺炎球菌性肺炎は、非常に若い人および非常に高齢な人に、より多く見られる。]
[0022] 肺炎球菌による疾患は世界的に起こっている。肺炎球菌による疾患は、冬季数ヶ月の間、およびインフルエンザなどの呼吸器系ウイルスが流行するときに、より多く見られる。肺炎球菌による疾患の蔓延はよくあることではないが、保育所、養護施設、または他の施設においては起こり得ることである。米国においては、肺炎球菌による疾患によって亡くなる人の多くは高齢者である。しかしながら新興国においては、多くの子供たちが肺炎球菌性肺炎によって亡くなっている。]
[0023] 肺炎球菌による疾患に対するリスクは、幼い子供たちおよび高齢者、ならびに心疾患、肺疾患もしくは糖尿病などの慢性的な病状、またはHIVなど免疫系が抑えられている病状を有している全年齢層の人において、最も高くなっている。喫煙者、および小さな子供たちと密接に関わっている人もまた、リスクがより高くなっている。また、幼い子供たちとの密接かつ長期にわたる接触を伴う混雑した環境または場所は、旅行中に肺炎球菌による疾患に罹るリスクを高めると考えられる。]
[0024] 発熱および気分のすぐれない状態は、肺炎球菌による疾患のあらゆる形態における典型的な症状である。また、このような状態は、血液感染症に罹っている幼い子供たちにおける唯一の症状であると考えられる。肺炎を患っている患者は、通常、咳をしており、その咳はしばしば膿性痰または血液を含む痰を伴ったものである。また、肺炎を患っている患者には、悪寒戦慄、息切れ、または胸膜炎性胸痛が起こる場合がある。肺炎球菌性肺炎を患っている高齢者において、発熱および痰の生成は見られないかもしれない。肺炎球菌性の髄膜炎、耳感染または鼻炎は、他の細菌によって引き起こされるこれらの症状と類似している。]
[0025] 〔毒性因子〕
肺炎連鎖球菌は、その細胞表面上および生物体内に、種々の毒性因子を発現している。これらの毒性因子は、肺炎連鎖球菌に感染している間の、いくつかの臨床症状の一因となっている:
・多糖類莢膜−多糖類莢膜は、細菌細胞におけるC3bのオプソニン化を阻害することによって、宿主の免疫細胞による食作用を阻止している。
・ニューモリシン(Ply)−ニューモリシンは、宿主細胞の溶解を引き起こし、構成要素を活性化することができる、53kDaのタンパク質である。
・自己溶菌酵素(LytA)−このタンパク質は、活性化されると、細菌内部の内容物(すなわち、ニューモリシン)を放出している細菌を溶解する。
・過酸化水素−過酸化水素は、宿主細胞に損傷を引き起こし(これにより、髄膜炎のときに神経細胞のアポトーシスを引き起こすことができる)、また、競合する細菌(インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))に対する殺菌作用を有している。
・ピリ−ピリは、肺炎連鎖球菌の多くの菌株においてその表面から伸びている、毛のような構造である。これらは、上気道のコロニー形成の一因となっている。また、これらによって、敗血症の際に生じる、免疫系による大量のTNF産生が増加し、敗血症性ショックが引き起こされる可能性が上昇する。
・コリン結合タンパク質A/肺炎球菌表面タンパク質A(CbpA/PspA)−CbpA/PspAは、肺上皮細胞の細胞表面にある炭水化物と相互作用することができ、補体を介した肺炎球菌のオプソニン化を阻害することができる。]
[0026] 〔治療法の選択〕
歴史的にみると、治療法は、主としてβ−ラクタム抗生物質に依存した方法であった。しかしながら、特に、抗生物質の利用頻度が高い地域において、ペニシリン耐性菌の蔓延が拡大しつつあった。菌株は様々な割合で、セファロスポリン、マクロライド(エリスロマイシンなど)、テトラサイクリン、クリンダマイシン、およびキノロン類に対しても耐性になり得る。ペニシリン耐性株は、他の抗生物質に対する耐性をより得やすいようである。ほとんどの単離株は、バンコマイシン感受性が残っている。しかしながら、薬剤の組織内分布、およびバンコマイシン耐性の出現に対する懸念から、β−ラクタム感受性単離株へのバンコマイシンの使用はあまり望ましくない。そのため、治療法の選択における新たな様式の開発という、満たされていない医療上の要求がある。]
[0027] 本発明のペプチドまたはペプチドの組合せは、感染性の疾患および障害の予防および/または治療における活性な治療剤としての効果について、実施例1〜7に記載のアッセイを用いて試験された。]
[0028] 〔自己免疫疾患〕
自己免疫疾患は、組織の損傷が身体の構成要素に対する体液性免疫応答および/または細胞性免疫応答と関連するか、より広義には、自己に対する免疫応答と関連する、一群の疾患または障害の何れかのことをいう。病理学的な免疫応答は、全身性のものであってもよく、臓器に特異的なものであってもよい。すなわち、例えば、自己に指向する免疫応答は、関節、皮膚、ニューロンを保護するミエリン鞘、腎臓、肝臓、膵臓、甲状腺、副腎および卵巣に影響を与え得る。]
[0029] 実際のところ、自己免疫疾患のリストは80を超える障害で構成されている。皮膚の色素が消失し斑点が生じるという白斑などの少数の自己免疫疾患は、単に気に障る程度のものである。しかし、他の大部分の自己免疫疾患は、衰弱性であり、多くの場合、時間とともに進行し、最終的に死に至らしめる。例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)は、診断から10年以内に10〜15%の患者が死亡する慢性疾患である。少数の自己免疫疾患を除く全ての自己免疫疾患において、性比は女性に偏っている。例えば、SLEでは、女性患者:男性患者の比は9:1である。特定の場合(免疫系が甲状腺を攻撃するという橋本病の場合)では、女性患者:男性患者の比は50:1である。]
[0030] 免疫複合体の形成が自己免疫疾患の病因および進行において役割を担うことは、長い間知られていた。例えば、関節炎に罹患している患者の炎症は、抗原、抗体および補体から構成された免疫複合体という複合体の、白血球による食作用と関与していると長い間考えられていた。しかし、今日では、関節、腎臓および血管において免疫複合体によって引き起こされる炎症(それぞれ関節炎、糸球体腎炎および血管炎である。)が、自己免疫疾患における病的状態の主な原因であると認識されている。免疫複合体の形成の増加は、自己に指向する抗体、すなわち、所謂、自己抗体の存在と相関しており、自己抗体が免疫複合体の一部として存在することまたは抗原に結合することなく遊離抗体として存在することも、組織の炎症の一因となり得る。いくつかの自己免疫疾患において、遊離した自己抗体の存在が疾患の病理学に顕著に寄与している。このことは、例えばSLE(抗DNA抗体)および免疫性血小板減少症(血小板に対する抗体反応)において明確に実証されており、それらよりは少ないが関節リウマチ(IgGに反応性のリウマチ因子)においても実証されている。特定の免疫吸着法を用いて免疫複合体および遊離の自己抗体を除去することによってある種の自己免疫疾患の首尾よい治療が達成されたという事実によって、免疫複合体および遊離の自己抗体の重要な役割はさらに実証される。例えば、イムノアフィニティカラムに患者の血液を通すことによって免疫複合体および抗体が除去されるアフェレーシス法を免疫性血小板減少症(ITP)および関節リウマチに対して使用することを、米国食品医薬品局(FDA)はそれぞれ1987年および1999年に承認した。しかし、現在のところ、薬剤の投与によって免疫複合体および自己抗体の除去を容易にするという、自己免疫疾患を治療するための方法は承認されていない。]
[0031] 自己免疫疾患の病因および進行のさらに別の態様は、プロ炎症性のサイトカインの役割である。正常な環境下では、腫瘍壊死因子α(TNFα)およびインターロイキン−1(IL−1)などのプロ炎症性のサイトカインは、感染および細胞性ストレスへの反応に対する防御の役割を果たしている。しかし、TNFαおよびIL−1が慢性的におよび/または過剰に産生されて生じた病理学的な状態が、関節リウマチ、クローン病、炎症性腸疾患および乾癬などの多くの自己免疫疾患が進行する原因であると確信される。他のプロ炎症性のサイトカインとしては、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−17および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子が挙げられる。]
[0032] 天然に存在するCD4+CD25+の調節T細胞(Tregs)は、自己抗原に対する、末梢における寛容を制御するに重要な役割を担っている。興味深いことに、この調節T細胞は、アレルゲンおよび移植された抗原に対する免疫応答も制御している。動物モデルでの近年の研究によって、CD4+CD25+Tregsの養子移入は、アレルギー性疾患および自己免疫疾患を予防し得るか、または治癒さえもし得ることが示され、移植への寛容を誘導するようである。これにより、患者に特異的なCD4+CD25+Tregsを用いる養子細胞療法は、炎症性疾患(アレルギー、自己免疫疾患および移植による拒絶反応が挙げられる。)を治療するための、患者ごとに合わせられる薬物療法を実現化した。さらに、薬理学的な因子を用いて抗原特異的なCD4+CD25+Tregsをインビボで活性化しかつ広げる戦略は、薬剤を開発するための新しい手段となり得る。]
[0033] 白血球と血管内皮との相互作用は、白血球が組織へ向かう血管外への浸潤を促進する、身体の防御メカニズムの重要な過程である。自己免疫疾患のような慢性疾患において、炎症組織への白血球の過剰な集積は、白血球の血管外への浸潤のメカニズムを干渉することによって妨げられ得た。血流から血管外の組織へ白血球が移動する分子基盤を解明することにおいて顕著な進展があり、このことは治療用のアプローチのための新しい戦略が可能にする。白血球の転動(rolling)、強力な接着、および内皮の壁を通過する遊出という複数のステップの過程は、白血球上の接着レセプターと内皮細胞上の接着レセプターとの活発な相互作用、およびケモカインによって促進される。種々の動物モデルを用いた前臨床の研究において、セレクチンファミリーおよびインテグリンファミリーの接着レセプターをブロックすることによって、潰瘍性大腸炎、自己免疫性脳脊髄炎または接触過敏症のモデルにおける炎症の過程が改善されたことを実証するという前途有望な結果が得られた。抗体によって接着レセプターを標的化することに加えて、接着レセプターリガンドのエピトープを模倣する低分子が開発され、動物モデルに首尾よく適用された。臨床研究は、セレクチンまたは白血球機能関連抗原1(LFA−1)のインテグリンに対する抗体を用いて、動物モデルと比べて制限された応答を示した。しかし、α4−インテグリンサブユニットに対するヒト化抗体を用いて、乾癬、多発性硬化症および炎症性腸疾患などの自己免疫疾患において顕著な有効性が実証された。]
[0034] 目の自己免疫疾患は、例えば、特発性の眼の神経炎、交感性眼炎、前部ブドウ膜炎および他の形態のブドウ膜炎、網膜の縮退、ならびにモーレン潰瘍である。]
[0035] 皮膚の自己免疫疾患は、例えば、水疱性類天疱瘡、慢性蕁麻疹(自己免疫のサブタイプ)、疱疹状皮膚炎(morbus Duhring)、後天性表皮(EBA)、後天性血管性浮腫、妊娠性疱疹、低補体血症性蕁麻疹血管炎症候群(hypocomplementemic urticarial vasculitis syndrome(HUVS))、線状IgA皮膚炎および天疱瘡である。]
[0036] 血液学的な自己免疫疾患は、例えば、自己免疫性溶血性貧血、自己免液性好中球減少症、エバンス症候群、阻害物質による血友病(inhibitor hemophilia)、特発性の血小板減少性紫斑病(ITP)および悪性貧血である。]
[0037] 婦人科学的な自己免疫疾患は、例えば、習慣流産および不妊症である。]
[0038] 心臓の自己免疫疾患は、例えば、先天性の心臓ブロック、突発性拡張型心筋症、周産期心筋症(peripartum-cardiomyopathy)、心術後症候群および心筋梗塞後症候群(postinfarct syndrome、ドレスラー症候群)である。]
[0039] 耳、鼻および咽喉の自己免疫疾患は、例えば、慢性の無音性聴力損失およびメニエール病である。]
[0040] 結腸の自己免疫疾患は、例えば、自己免疫性の腸疾患、潰瘍性大腸炎、非定型大腸炎、クローン病およびグルテン過敏性腸腸疾患である。]
[0041] 自己免疫性の内分泌学的な自己免疫疾患は、例えば、多腺性自己免疫症候群1型、多腺性自己免疫症候群2型、1型糖尿病(IDDM)、橋本甲状腺炎、インシュリン自己免疫症候群(IAS)、突発性尿崩症、突発性甲状腺機能低下症、突発性アジソン病およびグレーブス−バゼドー病である。]
[0042] 肝臓の自己免疫疾患は、例えば、自己免疫性肝炎(1型AIH、2型AIHおよび3型AIH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)および原発性硬化性胆管炎である。]
[0043] 肺の自己免疫疾患は、例えば、グッドパスチャー症候群である。]
[0044] 胃の自己免疫疾患は、例えば、慢性萎縮性胃炎(A型)である。]
[0045] 神経学的な自己免疫疾患は、例えば、ギランバレー症候群、IgMの免疫グロブリン血症と関連したニューロパシー、ランバート−イートン症候群、ミラーフィッシャー症候群、多発性硬化症、多巣性運動ニューロパシー、重症筋無力症、傍腫瘍性神経症候群、ラスムッセン脳炎およびスティッフマン症候群である。]
[0046] 腎臓の自己免疫疾患は、例えば、抗TBM腎炎、グッドパスチャー症候群/抗GBM腎炎、IgA腎症、間質性腎炎および膜性増殖性糸球体腎炎である。]
[0047] 自己免疫応答によって引き起こされ得るさらなる疾患は、ベーチェット病、慢性疲労性免疫機能障害症候群(chronic fatigue immune dysfunction syndrome(CFIDS))、コーガン症候群I、子宮内膜症、HELLP症候群、ベヒテレフ病、リウマチ性多発筋痛、乾癬、サルコイドーシスおよび白斑である。]
[0048] この十年間、全身性の自己免疫疾患を治療するための新しい生物学的療法が開発されている。これらの新しい治療は、免疫応答の全てのステップを標的としている。これらの新しい療法としては、以下が挙げられる:Bリンパ球(BL)の阻害剤(抗CD20モノクローナル抗体など)、Bリンパ球の刺激剤(BLyS)のアンタゴニストおよび病原性の抗体を分泌するLBの寛容原;抗原提示細胞とTリンパ球(TL)様の抗CD40リガンドモノクローナル抗体またはCTLA4−Igとの同時刺激の阻害剤(アバタセプト);自己反応性のT細胞の増殖を阻害し得るTLアンタゴニスト;サイトカインのアンタゴニスト;免疫担当細胞が標的の臓器へ移動することを阻害する、ケモカインおよびアドヘシンのアンタゴニスト。これらの新しいアプローチは、自己免疫応答のさらなる理解に基づいている。]
[0049] 本発明のペプチドは、自己免疫疾患および自己免疫性の障害の予防および/または治療における活性な治療剤としての効果について、実施例14〜15に記載のアッセイを用いて試験された。]
[0050] 〔線維性疾患〕
線維症または線維症と関連する疾患は、肝臓、表皮、内皮、筋肉、腱、軟骨、心臓、膵臓、肺、子宮、神経系、精巣、卵巣、副腎、動脈、静脈、結腸、小腸、胆管または胃に影響を与える。さらなる実施形態において、線維症または線維症と関連する疾患は、間質性肺線維症である。さらに別の実施形態において、線維症または線維症と関連する疾患は、住血吸虫の感染に起因して発症するものである。さらに別の実施形態において、線維症または線維症と関連する疾患は、創傷治癒に起因して発症するものである。]
[0051] 線維症は一般に、膠質性結合組織が病的にまたは過剰に蓄積することによって特徴付けられる。線維性疾患および線維性の疾患としては、限定されないが、膠原病、間質性肺疾患、ヒトの線維性の肺病(例えば、閉塞性細気管支炎、特発性の肺線維症、既知の病因からの肺線維症、肺疾患の腫瘍間質、肺に影響をおよぼす全身性硬化症、ヘルマンスキー−プドゥラック症候群、炭坑夫塵肺、アスベスト肺、珪肺、慢性の肺高血圧症、AIDS関連肺高血圧症およびサルコイドーシスなど)、線維性の血管系の疾患、尿細管間質性、および糸球体の線維症、心筋線維症、動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、静脈瘤、冠状動脈梗塞、脳梗塞、心筋線維症、筋骨格の線維症、手術後の癒着、ヒトの腎臓病(例えば腎炎症候群、アルポート症候群、HIVと関連するネフロパシー、多発性嚢胞腎、ファブリー病、糖尿病ネフロパシー、慢性糸球体腎炎、および全身性の狼瘡と関連する腎炎など)、皮膚のケロイドの形成、進行性全身性硬化症(PSS)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝臓の線維症、肝硬変、腎臓の線維症、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性の移植片対宿主病、強皮症(局所性および全身性)、グレイブオプタルモパシー(Grave’s opthalmopathy)、糖尿性病網膜症、緑内障、ペイロニー病、陰茎線維症、膀胱鏡を用いたテスト後の尿道狭窄、手術後の内側の癒着、瘢痕化、骨髄線維症、特発性後腹膜線維症、既知の病因からの腹膜の線維症、薬剤誘発性の麦角中毒、良性の癌または悪性の癌に起因する線維症、微生物(例えばウイルス、細菌、寄生虫、菌類など)の感染に付随する線維症、アルツハイマー病、炎症性腸疾患に付随する線維症(クローン病および微視的な結腸炎の狭窄形成を含む。)、化学的なまたは環境的な損傷(例えば癌化学療法、殺虫剤、放射線/癌放射線療法)によって引き起こされた線維症などが挙げられる。]
[0052] 線維症と関連する疾患としては、狼瘡、移植片対宿主病、強皮症、全身性硬化症、強皮症様の疾患、皮膚硬化のない強皮症(sine scleoderma)、石灰症、レイノーの食道蠕動運動低下、強指症、毛細血管拡張症、過敏性肺炎、膠原血管病、喘息、肺動脈高血圧、腎炎、慢性閉塞性肺疾患、心筋梗塞後の線維症、脳卒中後または神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)後の中枢神経系の線維症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、増殖性関節炎、珪肺、アスベストによって引き起こされた肺線維症、急性の肺の損傷および急性呼吸窮迫症候群が挙げられる。急性呼吸窮迫症候群としては、細菌性肺炎によって引き起こされた急性呼吸窮迫症候群、外傷によって引き起こされた急性呼吸窮迫症候群、ウイルス性肺炎によって引き起こされた急性呼吸窮迫症候群、結核、人工呼吸器によって引き起こされた急性呼吸窮迫症候群、非肺性の敗血症によって引き起こされた急性呼吸窮迫症候群、および誤嚥によって引き起こされた急性呼吸窮迫症候群が挙げられる。]
[0053] −線維性疾患における活性化された筋線維芽細胞数の増加−
筋線維芽細胞の出現および消失は、それぞれ進行性の線維症の発症およびその消散と相関していると考えられる。さらに、筋線維芽細胞は、線維性組織(肺組織など)における病理学的変化の多くを具現化する、多くの表現型の特徴を有している。これらの特徴は、肺線維症などの線維症が発病する際の、筋線維芽細胞にとっての重要な役割を示しているようである。さらに、筋線維芽細胞の残留は、進行性の疾患であることを示し得、反対に、筋線維芽細胞の消失は、消散の指標となり得る。このことは、今後、筋線維芽細胞を標的とした治療的戦略が生み出され得ることを示唆している。]
[0054] 患者は通常、活性化した線維芽細胞の数の増加を伴う進行性の線維症の形跡を示し、これらの線維芽細胞の多くは筋線維芽細胞の表現型の特徴を有している。これらの部位において、細胞外マトリックスの沈着の量が増加していることは、正常な肺胞の構造が消失していることとともに明らかである。動物モデルでの研究は、線維化が進行している部位に、I型コラーゲン遺伝子の発現の主要な供給源である筋線維芽細胞が存在することを示す。インビトロでの研究は、特定のサイトカインの影響下でこれらの細胞が線維芽細胞から分化したことを示し、これらの細胞が、一酸化窒素によって媒介されるアポトーシスに感受性であることを示している。トランスフォーミング増殖因子β1(TGF−β1)は、筋線維芽細胞の分化を促進することに加えて、アポトーシスに対する防御を提供する。このため、このよく知られた線維形成サイトカインは、筋線維芽細胞の出現、およびアポトーシス刺激に対するその生存の両方に重要である。このことは、種々の組織の多様な線維症モデルにおいて、このサイトカインが極めて重要であることと一致している。これらの特性の観点から、筋線維芽細胞の残留または延長された生存は、特定の形態の肺損傷が進行性の疾患になり、末期段階の疾患にて終結し得るのかを理解するための鍵となり得る。]
[0055] 肺線維症の病因は多様であるが、肺線維症の過程には共通する特徴、即ち正常な肺組織の構造を破壊する細胞外マトリックスの異常な沈着がある。このマトリックスの主要な細胞内の供給源は間葉細胞の集団であり、これは、線維症が進行する期間に線維性の病変の多くを占有する。この集団は、多くの主要な表現型に関して不均質である。これらの表現型の1つが筋線維芽細胞であり、この筋線維芽細胞は、α平滑筋アクチンにおけるその発現、および本物の平滑筋細胞と線維芽細胞との間の中間であるという特徴によって一般的に同定される。創傷治癒および組織の修復/線維形成の部位における筋線維芽細胞の新たな出現は、進行中の線維症の期間と関連しており、傷の縮小と関係していると考えられる。さらに、細胞外マトリックスの沈着が進行している部位での筋線維芽細胞の局在は、線維性の病変の発生にこれらの細胞が重要な役割を果たしていることを示唆している。]
[0056] −線維性疾患におけるTGF−β1ファミリーのレベルの増加−
これまでに試験されたあらゆるサイトカインの細胞外マトリックス沈着に対して、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF−β1)ファミリータンパク質は、最も強力な刺激効果を有している。肺線維症の動物モデルにおいて、TGF−β1遺伝子の発現の増加は、コラーゲン遺伝子の発現およびコラーゲンタンパク質の沈着の増加に時間的かつ空間的に関連している。TGF−β1抗体は、ブレオマイシンによって誘導されるマウス肺線維症におけるコラーゲンの沈着を減少させる。ヒトの線維性の肺組織において、TGF−β1の遺伝子およびタンパク質の発現が増強されていることが示されている。いくつかの一連の証拠は、TGF−βが肺線維症の中心的な調節因子であることを示唆している。TGF−βを過剰発現する数種の動物モデルは大規模な進行性の線維症を示したが、炎症は限定的であった。このことは、TGF−βが肺線維症の進行において役割を担い得ることを示している。それ故、治療のための取組みは、例えば、抗TGF−β1抗体またはTGF−β1のモジュレーター(ピルフェニドンなど)によって、TGF−βの活性を阻害することに焦点が絞られている。ピルフェニドンは、TGF−β1遺伝子の発現をインビボにおいて阻害し、その結果、TGF−β1によって媒介されるコラーゲンの合成を阻害し、患者のIPFの進行を遅延させるようである。新たな他の有望な抗線維症剤としては、リラキシン(TGF−βによって媒介されるコラーゲンの過剰発現を阻害し、コラゲナーゼを増加させる。)、スラミン(増殖因子を阻害する。)、プロスタグランジンE2(コラーゲンの生成を阻害する。)およびロバスタチン(線維芽細胞のアポトーシスを誘導することによって肉芽組織の形成を妨害する。)が挙げられる。]
[0057] TGF−βのレベルの増加と関連する肺に関連する疾患としては、早熟の慢性肺疾患、特発性の肺線維症、急速に進行する肺線維症、巨細胞間質性肺炎、肺移植後の急性拒絶、肺移植後のサイトメガロウイルス肺炎、閉塞性細気管支炎、アスベスト肺、炭坑夫塵肺、珪肺、組織球増殖、サルコイドーシス、好酸性肉芽腫、強皮症、全身性エリテマトーデス、リンパ管平滑筋腫、肺腺癌の中央線維症、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患および喘息が挙げられる。]
[0058] −線維性疾患におけるTNFαの増加−
間質性線維症における腫瘍壊死因子α(TNF−α)の重要な役割は、このサイトカインを過剰発現するか、またはこのサイトカインを欠損しているトランスジェニックマウスを用いて、確立された。TNF−αを過剰発現するように改変されたトランスジェニックマウスは、肺線維症を発症する。対照的に、TNF−αがないマウスは、ブレオマイシンによって誘導される線維症に対して顕著な耐性を示す。TNF−αは、インビトロにおいて線維芽細胞の複製およびコラーゲンの合成を刺激し得る。肺のTNF−αの遺伝子発現は、マウスにおいてブレオマイシンを投与した後に上昇する。マウスモデルでは、可溶性のTNF−αレセプターは肺線維症を減少させる。TNF−αを過剰発現するトランスジェニックマウスの肺は、肺線維症によって特徴付けられる。CFAまたはアスベスト肺に罹患している患者において、気管支肺胞洗浄液に由来するマクロファージは、コントロールと比べて、漸増量のTNF−αを放出する。]
[0059] 増加したTNF−αは、線維症、または任意の組織に影響を及ぼす線維症関連疾患を誘導する場合がある。このような線維症関連疾患としては、例えば内臓の線維症、皮膚または真皮の線維形成疾患、および目の線維性の疾患が挙げられる。内臓(例えば肝臓、肺、腎臓、心臓、血管、胃腸管)の線維症としては、肺線維症、突発性線維症、自己免疫疾患の線維症、骨髄線維症、肝硬変、静脈閉塞症、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、半月形糸球体腎炎、糖尿病ネフロパシー、腎臓の間質性線維症、シクロスポリンを受容している被験体中の腎臓の線維症、同種移植片拒絶、HTVと関連するネフロパシーが挙げられる。他の線維症と関連する疾患としては、全身性硬化症、好酸球増加筋痛症候群および線維症と関連するCNS疾患(眼内の線維症など)が挙げられる。皮膚の線維形成疾患としては、例えば強皮症、限局性強皮症、ケロイド、肥厚性瘢痕、家族性皮膚膠原腫およびコラーゲン型の結合組織性母斑が挙げられる。目の線維性の疾患としては、糖尿病網膜症、手術後の瘢痕化(例えば緑内障フィルタリング手術後の瘢痕化およびやぶにらみ(斜視)手術の後の瘢痕化)および増殖性硝子体網膜症が挙げられる。本発明の方法によって治療され得るさらなる繊維性の疾患としては、例えば、関節リウマチ;長期間に亘る関節痛および悪化した関節と関連する疾患;進行性全身性硬化症;多発性筋炎;皮膚筋炎;好酸球性筋膜炎;斑状強皮症;レイノー症候群および鼻のポリープ症、が挙げられる。]
[0060] −線維性疾患におけるマトリクスメタロプロテアーゼのレベルの増加−
間質性肺線維症(IPF)の患者の肺において観察される異常な細胞外マトリックス(ECM)のリモデリングは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)とメタロプロテアーゼの組織阻害因子(TIMP)との間の不均衡に、少なくとも部分的に起因するものである。正常な肺の線維芽細胞は、インビトロにおいてMMP−9を生成しないが、IPFの肺からの線維芽細胞は、MMP−9を強く発現する。さらに、IPFに罹患している患者からの線維芽細胞は、全てのTIMPを高レベルにて発現している。このような条件において、TIMPは、いくつかの細胞集団におけるアポトーシスにおいて役割を担い得る。特発性の肺線維症に罹患している未治療の患者から得られた肺胞マクロファージのインビトロの研究は、健康な個体から収集されたマクロファージと比べて、MMP−9の分泌が顕著に増加していることを示した。ブレオマイシンによって誘導された肺線維症の動物モデルにおいて、MMPが気管支肺胞洗浄(BAL)液中において増加されていることが示された。確かに、MMPの合成阻害剤であるバチマスタットは、ブレオマイシンによって誘導された肺線維症を顕著に減少させる。このことは、この肺におけるこの線維性疾患の発症にMMPが重要であることを示している。多くの研究は、MMPの作用によって増殖因子およびサイトカインが放出され得ることを示している。これらの線維形成を促進する因子は、活性化のためにタンパク質分解によるプロセシングを受ける必要があるか、またはこの因子がその活性を発揮することができる前に、細胞外マトリクスまたはキャリアタンパク質から放出される必要がある。事実、肺線維症の発病に関連する数種の主要な因子(例えばインシュリン様増殖因子(IGF)、TGF−β1およびTNF−α)のタンパク質分解プロセシングは、MMPの作用を介して起こり、これによって、これらの因子は、活性化されるか、または阻害性のタンパク質−タンパク質の相互作用から解放される。例えば、IGFは、インビボにおいて、IGFレセプターよりも6倍高い親和性を有するIGF結合タンパク質(IGFBP1〜6)によってマスキングされている。そのため、IGFはIGFレセプターと相互作用することを抑制されている。成人および子供のIPFおよび間質性の肺病を調べた研究は、IPFに加えて、IGFBP−3およびIFPB−2のレベルがIPFのBAL液中にて増加していることを示している。近年、MMPはIGF結合タンパク質の切断を調節することによって、この複合化したリガンドを開放して標的細胞におけるIGFの作用に影響を及ぼすことが示された。また、ゼラチナーゼ、MMP−9およびMMP−2が、潜在的なTGF−β複合体のタンパク質分解的な活性化に関与している可能性があることを示した観察もある。さらに、MMPの阻害剤であるバチマスタットは、BAL液中のMMP−9活性を減少させる。このMMP−9活性の減少は、TGF−βおよびTNF−αの量の減少と関連していた。]
[0061] 肺線維症は、宿主における刺激イベントに対する肺の急性の炎症反応の一般的な帰結であり得る。線維へ変化したことに起因する慢性の肺損傷は、特定可能な炎症性のイベントまたは潜行性で未知のイベントに由来し得る。炎症の過程は、種々の型の炎症性細胞(好中球およびマクロファージなど)の浸潤、炎症性のサイトカインおよびケモカインの分泌、ならびにマトリクスを再構築するプロテイナーゼの分泌を包含し得る。]
[0062] −線維性疾患におけるCCL18のレベルの増加−
他の活性化のマーカーである、システイン−システイン(CC)ケモカインリガンド18(CCL18)の、ヒトの肺胞マクロファージ(AM)による発現および調節は、肺線維症に罹患している患者において増加しており、肺機能のテストパラメータと負に相関している。このため、CCL18は肺線維症についての理想的な診断マーカーである。]
[0063] 本発明のペプチドは、線維性疾患および線維性の障害の予防および/または治療における活性な治療剤としての効果について、実施例14〜15に記載のアッセイを用いて試験された。]
[0064] 〔炎症性疾患〕
炎症は、感染症、外傷およびアレルギーなどの、ヒトの身体への種々の傷害に共通する最終的な経路である。炎症は、炎症性細胞の集積、プロ炎症性細胞の産生、およびプロ炎症性サイトカインの産生を伴う、免疫系の活性化によって特徴付けられる。ほとんどの炎症性疾患および炎症性障害は、単球/マクロファージ、顆粒球、形質細胞、リンパ球および血小板などの炎症性細胞の異常な蓄積によって特徴付けられる。組織の内皮細胞および線維芽細胞と同様に、これらの炎症性細胞は、多種多様な脂質、増殖因子、サイトカイン、および局部組織にダメージを与える有害な酵素を放出する。]
[0065] 炎症性反応の1形態は好中球性炎症である。好中球性炎症は、宿主防御の主要素である好中性の多形核白血球(PMN)による炎症を起こした組織の浸潤によって特徴付けられる。細胞外の細菌による組織の感染はこの炎症性反応の原型を示す。一方、種々の非感染性の疾患は、好中球の血管外への集積によって特徴付けられる。この群の炎症性疾患としては、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、免疫複合体の肺胞炎の数種類、嚢胞性線維症、気管支炎、気管支拡張、気腫、糸球体腎炎、関節リウマチ、痛風性関節炎、潰瘍性大腸炎、特定の皮膚病(乾癬など)および血管炎が挙げられる。これらの疾患において、好中球は組織の損傷が進む際に重大な役割を担うと考えられている。このような組織の損傷が持続すると、正常な組織の構造の不可逆的な破壊、および引き続く臓器の機能不全が引き起こされ得る。組織の損傷は、本来、好中球の活性化、この活性化された好中球によるプロテイナーゼの放出、および酸素種の生成の増加によって引き起こされ得る。]
[0066] 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、呼吸気の流れの制限が、完全に可逆的ではなく次第に進行することによって説明される。COPDに罹患しているほとんどの患者は、3種の病理学的状態(気管支炎、気腫、および粘液の詰まり)を有している。この疾患は、努力肺活量(FVC)が相対的に維持されながらも、一秒間の最大努力呼気肺活量(FEVi)が徐々に不可逆的に減少することによって特徴付けられる。喘息およびCOPDの両方において、気道の再構築が顕著である。しかし、気道の再構築は喘息およびCOPDにおいて異なっている。ほとんどの気流障害は、主に2つの要素(肺胞の破壊(気腫)および小さな気道閉塞(慢性の閉塞性気管支炎))によるものである。COPDは、粘液細胞の深刻な過形成によって特徴付けられる。患者の肺での好中球の浸潤は、COPDの主な特徴である。プロ炎症性のサイトカイン(TNF−αなど)および特にケモカイン(インターロイキン−8(IL−8)および増殖調節性癌遺伝子α(GRO−α)など)のレベルの上昇は、この疾患の病因において非常に重要な役割を担っている。血小板トロンボキサンの合成も、COPDに罹患している患者において増強されている。組織損傷のほとんどが、好中球の活性化、この活性化された好中球によるメタロプロテイナーゼの放出、および酸素種の生成の増加によって引き起こされる。]
[0067] TNF−αは、恒常性および病態生理学的な状態において重要である、いくつもの生物学的な活性を有している。TNF−αの主な供給源は、単球−マクロファージ、Tリンパ球および肥満細胞である。抗TNF−α抗体(cA2)が関節リウマチ(RA)に罹患している患者の治療に効果的であるという知見は、RAのための強力な薬物の候補として新しいTNF−α阻害剤を見出すことへの関心を強めた。関節リウマチは、関節の不可逆的な病理学的変化によって特徴付けられる、自己免疫性の慢性の炎症性疾患である。また、TNF−αのアンタゴニストは、RAに加えて、他の数種の病的状態および疾患に適用可能である。このような他の病的状態および疾患としては、例えば、脊椎炎、変形性関節症、痛風および他の関節炎の疾患、敗血症、敗血症性ショック、トキシックショック症候群、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾癬、糸球体腎炎、エリテマトーデス、強皮症、喘息、カヘキシー、慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全、インスリン抵抗性、肺線維症、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、ウイルス感染、ならびにAIDSが挙げられる。]
[0068] 用語「免疫炎症性障害」は、自己免疫疾患、増殖性の皮膚病、および炎症性の皮膚病などの種々の状態を包含する。免疫炎症性障害は、炎症の過程、免疫系の調節不全、および所望されない細胞増殖による健康な組織の破壊をもたらす。免疫炎症性疾患は、例えば、尋常性座瘡;急性呼吸窮迫症候群;アジソン病;アレルギー鼻炎;アレルギー性の眼内炎症性疾患、抗好中球細胞質抗体(ANCA)と関連する小血管の血管炎;強直性脊椎炎;関節炎、喘息;アテローム性動脈硬化症;アトピー性皮膚炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性肝炎;ベーチェット病;ベル麻痺;水疱性類天疱瘡;脳虚血;慢性閉塞性肺疾患;肝硬変;コーガン症候群;接触皮膚炎;COPD;クローン病;クッシング症候群;皮膚筋炎;糖尿病;円板状エリテマトーデス;好酸球性筋膜炎;結節性紅斑;剥脱性皮膚炎;線維筋痛;巣状糸球体硬化症;巣状分節性糸球体硬化症;巨細胞性動脈炎;痛風;痛風性関節炎;移植片対宿主病;手湿疹;ヘノッホ—シェーンライン紫斑病;妊娠疱疹;多毛;特発性の角膜の強膜炎;特発性の肺線維症;特発性の血小板減少性紫斑病;免疫性血小板減少性紫斑病;炎症性腸疾患または炎症性胃腸疾患、炎症性の皮膚病;扁平苔癬;ループス腎炎;リンパ腫性の気管気管支炎;黄斑浮腫;多発性硬化症;重症筋無力症;筋炎;非特異的な線維化性肺疾患;変形性関節症;膵炎;妊娠性類天疱瘡;尋常天疱瘡;歯周炎;結節性多発動脈炎;リウマチ性多発筋痛;陰嚢の掻痒(pruritus scroti);心因掻痒(pruritis)/炎症、乾癬;乾癬性関節炎;肺ヒストプラスマ症;関節リウマチ;再発性多発性軟骨炎;サルコイドーシスによって引き起こされた酒さ;強皮症によって引き起こされた酒さ;スイート症候群によって引き起こされた酒さ;全身性エリテマトーデスによって引き起こされた酒さ;蕁麻疹によって引き起こされた酒さ;帯状疱疹と関連する疼痛によって引き起こされた酒さ;サルコイドーシス;強皮症;分節性糸球体硬化症;敗血症性ショック症候群;肩の腱炎または滑液包炎;シェーグレン症候群;スティル病;脳卒中によって引き起こされた脳細胞死;スウィート病;全身性エリテマトーデス;全身性硬化症;高安動脈炎;側頭動脈炎;中毒性表皮壊死症;移植拒絶および移植拒絶と関連する症候群;結核;1型糖尿病;潰瘍性大腸炎;ブドウ膜炎;血管炎;ならびにヴェグナー肉芽腫症である。]
[0069] 本明細書において使用される「非皮膚性の炎症性障害」としては、例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、喘息および慢性閉塞性肺疾患が挙げられる。「皮膚性の炎症性障害」または「炎症性の皮膚病」は、乾癬、滴状乾癬、インバース乾癬、膿疱性乾癬、紅皮症の乾癬、急性熱性好中球皮膚病、湿疹、乾皮性湿疹、汗疱状湿疹、水泡性の掌蹠湿疹、尋常性座瘡、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、皮膚筋炎、剥脱性皮膚炎、手湿疹、汗疱、酒さ、サルコイドーシスによって引き起こされた酒さ、強皮症によって引き起こされた酒さ、スイート症候群によって引き起こされた酒さ、全身性エリテマトーデスによって引き起こされた酒さ、蕁麻疹によって引き起こされた酒さ、帯状疱疹と関連する疼痛によって引き起こされた酒さ、スウィート病、好中性の汗腺炎、無菌の膿疱症、薬疹、脂漏性皮膚炎、バラ色粃糖疹、皮膚のキクチ病、掻痒性蕁麻疹性丘疹形成および斑妊娠、スティーヴェンズ−ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症、入れ墨の反応、ウェルズ症候群(好酸球性蜂巣炎)、反応性関節炎(ライター症候群)、腸と関連する皮膚病関節炎症候群、リューマチ性の好中性皮膚病(rheumatoid neutrophilic dermatosis)、好中性のエクリン汗腺炎(neutrophilic eccrine hidradenitis)、背部の手の好中性皮膚病、形質細胞限局性亀頭炎、亀頭包皮炎、ベーチェット病、遠心性環状紅斑、色素異常性固定性紅斑、多形紅斑、環状肉芽腫、手の皮膚炎、光沢苔癬、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、ビダール苔癬、棘状苔癬、貨幣状皮膚炎、壊疽性膿皮症、サルコイドーシス、角層下膿疱症、蕁麻疹および一過性棘融解性皮膚症から選択される炎症性障害を意味する。]
[0070] 「増殖性の皮膚病」は、表皮または真皮において細胞分裂が促進されていることによって特徴付けられる、良性または悪性の疾患を意味する。増殖性の皮膚病は、例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、非特異的な皮膚炎、1次刺激性の接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、皮膚の基底細胞癌および皮膚の扁平上皮細胞癌、葉状魚鱗癬、表皮剥離性角化症、前癌性の角化症、尋常性座瘡および脂漏性皮膚炎である。当業者に明らかなように、特定の疾患、障害または状態は、増殖性の皮膚病および炎症性の皮膚病の両方として特徴付けられてもよい。このような疾病は、例えば乾癬である。]
[0071] 特定の状態と関連する炎症の症状および兆候としては、以下が挙げられる:
・関節リウマチ:関連している関節の疼痛、腫脹、暖かみおよび圧痛;一般的なこわばりおよび朝のこわばり;
・インスリン依存性の糖尿病−膵島炎:この状態は、炎症の要素を伴う種々の合併症を引き起こし得る。合併症としては、網膜症、ニューロパシー、ネフロパシー;冠動脈疾患、末梢血管疾患および脳血管疾患が挙げられる;
・自己免疫性甲状腺炎:衰弱、便秘、息切れ、顔、手および足の腫脹、末梢性浮腫、徐脈;
・多発性硬化症:痙性、かすみ目、眩暈、四肢の衰弱、感覚異常;
・ブドウ膜網膜炎:夜間視力の低下、周辺視力の損失;
・エリテマトーデス:関節痛、発疹、光過敏症、発熱、筋肉痛、手および足の腫脹、尿検査の異常(血尿、円柱尿、タンパク尿)、糸球体腎炎、認知機能障害、血管血栓症、心嚢炎;
・強皮症:レイノー病;手、腕、足、および顔の膨化;皮膚の肥厚;指および膝の疼痛、腫脹ならびにこわばり、胃腸の機能障害、拘束性肺疾患;心嚢炎;腎不全;
・リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、敗血症性の関節炎および多発性関節炎などの炎症の要素を有する他の関節炎の状態:発熱、疼痛、腫脹、圧痛;
・髄膜炎、アルツハイマー病、AIDS認知症の脳炎などの他の炎症性の脳障害:−光恐怖症、認知機能障害、物忘れ;
・網膜炎などの他の眼の炎症:視力の低下;
・湿疹、他の皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎)、乾癬、(太陽光線および同様のUVの供給源からの)UV照射によって引き起こされた火傷などの炎症性の皮膚障害:紅斑、疼痛、鱗屑、腫脹、圧痛;
・クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患:疼痛、下痢、便秘、直腸出血、発熱、関節炎;
・喘息:息切れ、喘鳴音;
・アレルギー性鼻炎などの他のアレルギー性障害:くしゃみ、掻痒、鼻水;
・脳卒中後の脳損傷などの急性外傷と関連する状態:感覚の喪失、運動の喪失、認識の喪失;
・心筋虚血による心組織の損傷:疼痛、息切れ;
・成人呼吸窮迫症候群において生じているような肺の損傷:息切れ、過換気、酸素付加の減少、肺の浸潤;
・敗血症、敗血症性ショック、トキシックショック症候群などの感染症に付随する炎症:発熱、呼吸不全、頻脈、低血圧、白血球の増加;
・特定の臓器または組織と関連する他の炎症性の状態:例えば以下の(i)〜(ix)
(i)腎炎(例えば糸球体腎炎):乏尿、尿検査の異常;
(ii)炎症を起こした虫垂:発熱、疼痛、圧痛、白血球の増加;
(iii)通風:関係している関節の疼痛、圧痛、腫脹および紅斑、血清および/または尿の尿酸の増加;
(iv)炎症を起こした胆嚢:腹痛および圧痛、発熱、吐き気、白血球の増加;
(v)うっ血性心不全:息切れ、ラ音、末梢性浮腫;
(vi)II型糖尿病:終末器の合併症(循環器疾患、眼疾患、腎臓疾患および末梢血管疾患;
(vii)肺線維症:過換気、息切れ、酸素添加の減少;
(viii)アテローム性動脈硬化症および再狭窄などの血管疾患:疼痛、感覚の喪失、脈拍の低下、機能の喪失;
(ix)移植の拒絶を引き起こす同種免疫:疼痛、圧通、発熱。]
[0072] ヒトペプチドは、以下に記載のアッセイの1つにおいて阻害が>50%である場合に、炎症性疾患において「活性」である。(百分率としての)阻害は以下の式を用いて計算した:阻害(%)=(1−サンプル中のサイトカインの濃度/ポジティブコントロール中のサイトカインの濃度)×100。ポジティブコントロールは、物質を用いて処理されていない、刺激されたサンプルをいう。]
[0073] 本発明のペプチドは、炎症性疾患および炎症性の障害の予防および/または治療における活性な治療剤としての効果について、実施例1〜7、9〜17に記載のアッセイを用いて試験された。]
[0074] 〔神経変性疾患〕
本発明はまた、一般的に、神経病学および精神病学の分野に関し、哺乳動物の中枢神経系の細胞を損傷または傷害から保護する方法に関する。]
[0075] 中枢神経系(CNS)または末梢神経系(PNS)に対する種々の傷害または外傷は、重篤かつ持続性の、神経病的および/または精神病的な、症状および疾患をもたらし得る。種々の傷害または外傷が取り得る形態の1つは、中枢神経系(CNS)のニューロンまたは他の細胞の進行性の死、すなわち神経変性または神経細胞の変性である。]
[0076] 神経変性は、発症率が高くかつ長期にわたって後遺症が頻発するという観点から、医療上および公衆衛生上非常に問題視されている。神経変性は、例えば、アルツハイマー病、多発性硬化症、脳血管障害(CVAs)/脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷、視神経変性(例えば、虚血性の視神経症または網膜変性)および他の中枢神経系障害の結果として生じる。動物実験および臨床試験によって、アミノ酸伝達物質(特にグルタミン酸塩)、酸化ストレスおよび炎症反応が、これらの状態における細胞死を強く助長することが示されている。傷害または虚血性の外傷が与えられると、損傷されたニューロンは、周囲のニューロンにとって毒性の神経伝達物質であるグルタミン酸塩を大量に放出する。グルタミン酸塩は、哺乳動物の神経系において興奮性シナプス伝達物質である、負に荷電したアミノ酸である。グルタミン酸塩の濃度は、神経末端においてミリモーラーの範囲に達し得るが、グルタミン酸塩の細胞外濃度は、神経毒性を回避するような低レベルに維持される。なお、グルタミン酸塩が高濃度に存在する場合、グルタミン酸塩が神経細胞にとって毒性であることに留意すべきである。用語「興奮毒性」は、グルタミン酸塩(およびそのような他の興奮性アミノ酸)が大量に加えられた場合に神経細胞に対して有し得る、細胞毒性効果を説明するために使用されている。]
[0077] 中枢神経系(CNS)または末梢神経系(PNS)(例えば、網膜)に任意の種類の傷害または損傷を有する患者は、神経を保護する方法による恩恵を受け得る。この神経系の傷害は、例えば急性の神経変性障害に見られるような、神経系に対する突発的な外傷または急性の傷害の形態を取り得る。急性の神経変性障害としては、限定されないが、急性の損傷、低酸素性虚血またはこれらの組合せが挙げられ、これらは神経細胞の死または障害を生じる。急性の傷害としては、限定されないが、外傷性脳損傷(TBI)が挙げられる。外傷性脳損傷(TBI)としては、閉鎖性脳損傷、鈍的脳損傷もしくは穿通性脳損傷、局所性脳損傷、びまん性脳損傷、脊髄損傷、脳内もしくは脳室内の損傷(脊髄の挫傷、穿通、せん断、圧迫もしくは裂傷または乳児むち打ち揺さぶり症候群が挙げられる。)が挙げられる。]
[0078] さらに、酸素または血液の供給の欠乏が、低酸素および/または虚血に見られるような急性の傷害を一般的に引き起こし得る。この急性の傷害としては、限定されないが、脳血管の不全、脳虚血もしくは脳梗塞(塞栓性の閉塞および血栓症に由来する脳虚血または脳梗塞が挙げられる。)、網膜虚血(糖尿病またはそれ以外)、緑内障、網膜変性、多発性硬化症、毒性もしくは虚血性の視神経症、急性虚血に続く再潅流、周産期の低酸素性虚血性の損傷、心停止またはあらゆる種類の頭蓋内出血(限定されないが、硬膜外出血、硬膜下出血、クモ膜下出血または脳内出血が挙げられる。)が挙げられる。]
[0079] また、神経系の組織に対する外傷または傷害は、より慢性でありかつ進行性である神経変性障害(例えば、長期にわたる進行性の神経細胞の死または障害と関連する神経変性障害)の形態を取り得る。この神経変性障害としては、限定されないが、アルツハイマー病、ピック病、びまん性のレビ小体病、進行性核上性麻痺(スティール−リチャードソン症候群)、多系統の変性(シャイ−ドレーガー症候群)、神経変性と関連する慢性の癲癇性の状態、運動ニューロン疾患(筋萎縮性側索硬化症)、多発性硬化症、変性運動失調症、大脳皮質基底核変性、グアムの筋萎縮性側索硬化症(ALS)−パーキンソン認知症複合、亜急性の硬化性全脳炎、ハンチントン病、パーキンソン病、シヌクレイノパシー(多系統萎縮症が挙げられる。)、原発性の進行性失語症、線条体黒質変性症、マーチャード−ジョセフ病もしくは3型の脊髄小脳失調およびオリーブ橋小脳変性、球麻痺または偽球麻痺、脊髄筋萎縮症および脊髄延髄筋萎縮症(ケネディ病)、原発性の側索硬化症、家族性の痙性対麻痺、ウェルドニッヒ−ホフマン病、クーゲルベルク−ヴェランダー病、テイザックス病、サンドホフ病、家族性の痙攣性疾患、ウォルファルト−クーゲルベルク−ヴェランダー病、痙攣性麻痺、進行性の多発性白質脳症、家族性の遺伝性自律神経症(ライリー−デイ症候群)またはプリオン病(限定されないが、クロイツフェルト−ヤコブ病、ゲルストマン−シュトルスラー−シャインカー病、クールー病、または致死性家族性不眠症が挙げられる。)が挙げられる。]
[0080] さらに、神経系に対する外傷および進行性の傷害は種々の精神障害において生じ得る。精神障害としては、限定されないが、進行性で悪化型の双極性障害もしくは分裂感情障害もしくは精神分裂症、衝動調節障害、強迫性障害(OCD)、側頭葉の癲癇での行動変化、および人格障害が挙げられる。]
[0081] 1つの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、種々の精神障害における神経系に対する外傷および進行性の傷害を含む障害において、神経を保護するために使用される。これらの疾患は、分裂感情障害、精神分裂病、衝動調節障害、強迫性障害(OCD)および人格障害からなる群から選択される。]
[0082] さらに、外傷および傷害は、顕性で大規模な記憶喪失と関連する障害の形態を取り得る。この疾患としては、限定されないが、加齢に伴う痴呆、血管性痴呆、びまん性白質病(ビンスワンゲル病)、内分泌由来または代謝由来の痴呆、頭部外傷の痴呆およびびまん性の脳損傷、ボクサー痴呆もしくは前頭葉痴呆(限定されないがピック病が挙げられる)と関連する神経変性疾患が挙げられる。]
[0083] 神経傷害と関連する他の障害としては、限定されないが、神経系(網膜が挙げられる。)の化学的な傷害、毒による傷害、感染による傷害および放射線による傷害と関連する障害;胎児の発育期における傷害と関連する障害;出生時における未熟と関連する障害;無酸素性虚血と関連する障害;肝臓、糖血症、尿毒症、電解質および内分泌に由来する傷害と関連する障害;精神医学的なもの(限定されないが、精神病、うつ病または不安症が挙げられる。)に由来する傷害と関連する障害;末梢疾患および神経叢障害(神経叢麻痺が挙げられる。)に由来する傷害と関連する障害;またはニューロパシーに由来する傷害と関連する障害が挙げられる。ニューロパシーとしては、多発性ニューロパシー、知覚性ニューロパシー、運動性ニューロパシー、知覚性−運動性ニューロパシー、自律性ニューロパシー、知覚性−自律性ニューロパシーまたは脱髄性ニューロパシー(限定されないが、ギラン−バレー症候群または慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害が挙げられる。)、あるいは感染、炎症、免疫疾患、薬剤の濫用、薬理的な処理、毒素、外傷(限定されないが、圧迫外傷、破砕外傷、裂傷または分断外傷が挙げられる。)、代謝障害(限定されないが、内分泌性または腫瘍随伴性が挙げられる。)、シャルコー−マリー−ツース病(限定されないが、タイプ1a、タイプ1b、タイプ2、タイプ4aまたはタイプ1−X連鎖性のもの挙げられる。)、フリードライヒ失調症、異染性白質萎縮症、レフサム症候群、副腎脊髄ニューロパシー、毛細血管拡張性運動失調症、デジュリーヌ−ソッタス病(限定されないが、A型またはB型が挙げられる。)、ランベルト−イートン(Lambert-Eaton)症候群または脳神経の障害に由来するニューロパシー、から選択されるニューロパシーが挙げられる。]
[0084] さらに、認知障害も適応症である。用語「認知障害」は、不安障害、せん妄、痴呆、健忘症、解離障害、摂食障害、気分障害、統合失調症、精神病、性同一性障害、睡眠障害、身体表現性障害、急性のストレス病、強迫性障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、特定の恐怖症、対人恐怖、物質の離脱によるせん妄、アルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病、頭部外傷、ハンチントン病、HIV疾病、パーキンソン病、ピック病、学習障害、運動技能障害、発達性協調運動障害、意思疎通障害、音韻障害、広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉性障害、小児期崩壊性障害、レット障害、広汎性発達障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、行動障害、反抗的行為障害、異食症、反芻性障害、チック障害、慢性の運動性チック障害または音声チック障害、トゥレット障害、排泄障害、尿失禁、夜尿症、場面かん黙症、分離不安障害、解離性健忘症、離人症、解離性遁走症、解離性同一性障害、神経性拒食症、神経性過食症、双極性障害、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、精神異常、共有精神病性障害、妄想、幻覚、物質誘導性精神異常、オルガスム障害、性交疼痛障害、性交疼痛症、膣痙、性的不能、性的倒錯、睡眠異常、呼吸関連睡眠障害、慨日リズム睡眠障害、過眠症、不眠症、ナルコレプシー、睡眠異常、睡眠時異常行動、悪夢症、夜驚症、夢遊病、睡眠時異常行動、身体醜形障害、転換性障害、心気症、疼痛性障害、身体化障害、アルコールと関連する障害、アンフェタミンと関連する障害、カフェインと関連する障害、大麻と関連する障害、コカインと関連する障害、幻覚剤と関連する障害、吸入薬と関連する障害、ニコチンと関連する障害、オピオイドと関連する障害、フェンサイクリジンと関連する障害、薬剤の濫用、持続的な健忘症、中毒、離脱症状をいう。]
[0085] 用語「双極性の臨床的障害」は、適応障害、不安症、せん妄、痴呆、健忘症および他の認知障害、通常は乳児期(例えば)、幼年期もしくは青年期に初めて診断される障害、解離性障害(例えば、解離性健忘症、離人症、解離性遁走症および解離性同一性障害)、摂食障害、虚偽性精神障害、衝動調節障害、一般的な病状に起因する精神障害、気分障害、臨床的配慮の的になり得る他の状態、人格障害、統合失調症および他の精神異常、性同一性障害、睡眠障害、身体表現性障害、物質と関連する障害、全般性不安障害(例えば、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害)、パニック障害、恐怖症、広場恐怖症、強迫性障害、ストレス、急性ストレス障害、不安神経症、神経過敏症、恐怖症、心的外傷後ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、薬剤の濫用、強迫性障害(OCD)、躁うつ病、特定の恐怖症、対人恐怖、不安性の特徴を有する適応障害をいう。]
[0086] 通常は乳児期、幼年期もしくは青年期において初めて診断される障害は、例えば、精神遅延、学習障害、算数障害、読字障害、書字表出障害、運動能力障害、発達性協調運動障害、意思疎通障害、表出性言語障害、音韻障害、受容−表出混合性言語障害、連発性吃音、広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉症、小児期崩壊性障害、レット症候群、注意欠陥多動障害(ADHD)、行動障害、反抗的行為障害、乳児期または幼児期の摂食障害、異食症、反芻性障害、チック障害、慢性の運動チック障害または音声チック障害、トゥレット障害、排泄障害、尿失禁、夜尿症、場面かん黙症、分離不安障害、乳児期または幼児期の反応性愛着障害、常同性運動障害である。]
[0087] 物質と関連する障害は、例えば、アルコールと関連する障害、アンフェタミンと関連する障害、カフェインと関連する障害、大麻と関連する障害、コカインと関連する障害、幻覚剤と関連する障害、吸入薬と関連する障害、ニコチンと関連する障害、オピオイドと関連する障害、精神異常、精神異常、フェンサイクリジンと関連する障害、薬剤の濫用、持続的な健忘症、不安症、持続性痴呆、依存症、中毒、中毒性せん妄、気分症、精神異常、離脱症状、禁断症状のせん妄、性的不能、睡眠障害である。]
[0088] 本明細書において使用される場合、用語「神経保護」は、哺乳動物(ヒトを包含する。)の中枢神経系もしくは末梢神経系における神経細胞、軸策もしくはそれらの支持細胞の、機能障害、変性または死の重症度を、抑制すること、予防すること、回復させることまたは低減させることを意味する。神経保護は、神経変性疾患の治療または予防;興奮毒性に対する保護またはそれらを必要とする患者における化合物の細胞毒性作用を改善することを包含する。このような化合物としては、例えば、グルタミン酸塩といった興奮性アミノ酸;または即効性もしくは遅効性の細胞に対して有毒な副作用(限定されないが、即効性または遅効性のアポトーシスの誘導が挙げられる。)をもたらす毒素、予防用化合物もしくは治療用化合物が挙げられる。]
[0089] 本明細書において使用される場合、用語「神経保護薬を用いた治療を必要とする患者」は、上述した症候群もしくは障害の何れかを現在有しているか、または発症し得るあらゆる患者、あるいは、以下のような障害を現在有しているか、または発症し得るあらゆる患者をいう:神経保護がもたらされることによって、任意の神経障害もしくは精神障害の、発症、拡大、悪化、または治療に対する耐性の増大を回避するという恩恵が、現在の臨床症状または予後にもたらされるあらゆる障害。]
[0090] 本明細書において使用される場合、用語「治療すること」または「治療」は、傷害、病状または状態の予防または回復に成功した任意の兆し(任意の客観的または主観的なパラメーターを包含する。)が得られることをいう。任意の客観的または主観的なパラメーターは、例えば、寛解;回復;症状の改善、または損傷、病状もしくは疾患を患者にとってより耐えられるようにすること;変性または衰弱の速度を緩めること;変性の最終的な程度をより小さくさせること:あるいは被験体の肉体的または精神的な健康状態を向上させることである。症状の治療または回復は、客観的または主観的なパラメーター(物理的な試験、神経学的な試験および/または精神医学的な評価の結果が挙げられる。)に基づき得る。]
[0091] いくつかの実施形態において、本発明は、神経保護の方法を提供する。特定の実施形態において、これらの方法は、治療的に有効な量の本発明のペプチドの組合せを患者に対して投与する工程を包含する。この患者は、神経系の細胞に対する傷害または損傷の臨床的な顕性の徴候または症状をまだ生じていないが、神経系に対する傷害もしくは損傷があることに起因して、あるいはいくつかの公知の生化学的な素因もしくは遺伝学的な素因があることに起因して、または1つ以上のこれらの障害の検証されたバイオマーカーが発見されたことに起因して、神経の損傷が進展する危険度の高い群に含まれ得る。]
[0092] したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、臨床的な徴候をまだ生じていないが、神経の障害が進展する危険性がある被験体において、神経保護を誘導する。この患者は、被験体またはその家族の、病歴、健康診断、または神経の損傷が進展する危険性が平均よりも高いことを示す試験における任意の因子を認識して判定される場合に、単に「危険性がより高い」ものであるかもしれないといえる。したがって、利用可能な任意の方法によって患者が「危険性のより高い」ものであるかもしれないとするこの判定は、患者が本発明の方法を用いて治療されるべきか否かを判定するために使用され得る。]
[0093] したがって、例示的な実施形態において、本発明の方法およびペプチドまたはペプチドの組合せによる治療から恩恵を受け得る被験体は、神経の損傷についての危険因子を判定する公認のスクリーニング方法を用いて識別され得る。このようなスクリーニング方法としては、例えば、危険因子を判定するための慣用的な精密検査が挙げられる。危険因子としては、限定されないが、例えば、閉鎖性もしくは穿通性の頭部外傷、細菌もしくはウイルスのCNS感染、脳血管疾患(限定されないが、脳卒中が挙げられる。)、脳腫瘍、脳水腫、嚢虫症、ポルフィリン症、代謝性脳症、薬剤の離脱症状(限定されないが、鎮静剤−催眠剤またはアルコールの離脱症状が挙げられる。)、異常な周生期歴(出生時の無酸素症またはあらゆる種類の出生時損傷が挙げられる。)、脳性小児麻痺、学習不能症、機能亢進、小児期における熱性痙攣歴、てんかん重積状態歴、痙攣もしくはあらゆる発作と関連する疾患の家族歴、脳の炎症性疾患(ループスが挙げられる。)、直接的にもしくは胎盤を介して伝達された薬剤による中毒(限定されないが、コカイン中毒が挙げられる。)、親の血縁関係、および神経系に対して毒性の医薬品(向精神薬が挙げられる)を用いた治療が挙げられる。]
[0094] 臨床的な徴候または症状が表れていない患者に対して神経保護薬を用いて治療したことによって患者が恩恵を受け得るか否かの判定は、種々の「代理マーカー」または「バイオマーカー」に基づき得る。]
[0095] 本明細書において使用される場合、用語「代理マーカー」および「バイオマーカー」は、交換可能に使用される。「代理マーカー」および「バイオマーカー」は、神経の損傷が現在存在することまたは将来的に神経の損傷が進展することと正確に相関し得る、解剖学的、生化学的、構造的、電気的、遺伝的もしくは化学的な任意のあらゆる指標またはマーカーのことをいう。いくつかの場合では、脳画像化技術を使用して、被験体が神経の損傷についての危険性を有しているか否かを判定してもよい。脳画像化技術は、例えば、コンピューター断層撮影法(CT)、磁気共鳴影像法(MRI)または陽電子放出断層撮影法(PET)である。本発明の方法にとって好適なバイオマーカーとしては、限定されないが、海馬の硬化、萎縮もしくは体積低下、または明確な内側側頭様硬化症(MTS)あるいは関連する類似の解剖学的病状のMRI、CTまたは他の画像化技術による判定;患者の血液、血清または組織中におけるタンパク質もしくは他の生化学的なバイオマーカーといった分子種の検出(例えば、毛様体神経栄養因子(CNTF)の濃度の上昇または神経変性産物の血清中濃度の上昇);あるいは神経保護薬を用いた治療が患者に必要であるという、代理マーカーまたはバイオマーカーからの他の証拠が挙げられる。]
[0096] 広範な種々の検出技術を利用するこのようなバイオマーカーが、将来的にさらに数多く開発されると予想される。神経の損傷が存在するか、または将来的に神経の損傷が進展する可能性があることを示す任意のマーカーまたは指標は(指標という用語が本明細書において使用される通りに)、本発明の化合物および方法を用いた治療の必要性を判定するために、本発明の方法に使用され得ることが意図される。]
[0097] また、被験体が神経の損傷を有していること、または被験体の神経の損傷が進展する危険性があり得ることの判定としては、例えば、医学的評価が挙げられる。医学的評価としては、詳細な病歴、健康診断および一連の関連する血液検査が挙げられる。また、医学的評価としては、脳波図(EEG)、CTスキャン、MRIスキャンまたはPETスキャンが挙げられ得る。また、神経の損傷または傷害が進展する危険性が高いか否かは、遺伝的試験によって判定されてもよい。遺伝的試験としては、遺伝子発現のプロファイリング技術または遺伝子発現のプロテオーム技術が挙げられる。神経保護薬によって安定化または改善され得る精神障害(例えば、双極性障害、統合失調性感情障害、統合失調症、衝動制御障害など)に関し、上述した試験は、現在の状態の試験および患者の症状の詳細な経歴が挙げられる。この詳細な経歴は、患者の症状(例えば、気分症の症状および精神病の症状)の長期にわたる経歴であり、かつ患者が長期にわたって受けたかもしれない他の治療に関する経歴(例えば、人生の病歴)である。これらの方法、他の特殊な方法および通常の方法によって、臨床医は、本発明の方法および製剤を用いた治療法を必要とする患者を選択することができる。本発明のいくつかの実施形態において、本発明の実施に好適なペプチドは、単独であるいは少なくとも1つ以上の他の化合物または治療剤と同時に投与される。他の化合物または治療剤は、例えば、他の神経保護薬または抗てんかん薬、抗痙攣薬である。これらの実施形態において、本発明は、患者における神経の傷害を治療または予防する方法を提供する。本方法は、本明細書に開示されているペプチドの1つを有効量で、1つ以上の、有効量の他の化合物または治療剤と組み合わせて、治療を必要とする患者に投与する工程を包含する。他の化合物または治療剤は、神経保護をもたらすか、または発作もしくはてんかんの発生を治療または予防する能力、あるいは本発明の化合物の神経保護効果を増強する能力を有するものである。]
[0098] 本明細書において使用される場合、化合物、治療剤または公知の薬剤と本発明のペプチドの組合せとの「併用投与」という用語は、公知の薬剤およびペプチドの組合せの両方が治療効果を有する場合に、その薬剤および1つ以上の化合物を投与することを意味している。いくつかの場合において、この治療効果は相乗効果である。このような同時投与は、本発明のペプチドの組合せの投与と同時に(すなわち、一緒に)、投与の前に、または投与に続けて、薬剤を投与することを包含し得る。当業者は、特定の薬剤および本発明のペプチドの投与についての、適切なタイミング、手順および投与量を容易に決定するであろう。]
[0099] 上述した1つ以上の他の化合物または治療剤は、以下の特性の1つ以上を有する化合物から選択され得る。この特性は、抗酸化活性;NMDA受容体に対するアンタゴニスト活性;内在性のGABA阻害の増強;NO合成酵素を阻害する活性;鉄に結合する能力(例えば、鉄キレート剤);カルシウムに結合する能力(例えば、Ca(II)キレート剤);亜鉛に結合する能力(例えば、Zn(II)キレート剤);患者のCNSにおけるナトリウムイオンチャネルもしくはカルシウムイオンチャネルを効率的にブロックする能力、またはカリウムイオンチャネルもしくは塩素イオンチャネルを開く能力である。]
[0100] 本発明のペプチドまたはペプチドの組合せは、神経変性疾患および神経変性障害の予防および/または治療における活性な治療剤としての効果について、実施例1〜7、9〜17に記載のアッセイを用いて試験された。]
[0101] 〔心臓および脈管の疾患〕
心臓疾患は、多くの異なる心臓の疾患を説明するために使用される総称である。例えば、最も一般的な心臓疾患である冠状動脈疾患は、酸素を豊富に含む血液を心臓に供給する動脈の絞窄または狭窄によって特徴付けられ、心筋の一部の死である心筋梗塞を引き起こし得る。心不全は、全身に十分な血量を送り出す心臓のポンプ機能の不全から生じる状態である。心不全は、心臓の活動が突然不意に停止することではなく、むしろ心臓が効率的に血液を送り出す能力を徐々に失いながら、典型的に長年かけて緩やかに進行する。心不全に関する危険因子としては、冠状動脈疾患、高血圧、心臓弁膜症、心筋症、心筋の疾患、肥満、糖尿病および/または心不全の家族歴が挙げられる。]
[0102] 心臓脈管疾患および心臓脈管障害の例としては、動脈瘤、安定狭心症、不安定狭心症、狭心症、血管神経浮腫、大動脈弁狭窄、大動脈瘤、不整脈、不整脈源性右室異形成、動脈硬化症、動静脈奇形、心房細動、ベーチェット症候群、徐脈、心タンポナーデ、心肥大、うっ血性心筋症、肥大性心筋症、拘束型心筋症、頚動脈狭窄症、脳溢血、チャーグ−ストラウス症候群、糖尿病、エブスタイン奇形、アイゼンメンゲル複合、コレステロール塞栓症、細菌性心内膜炎、線維筋形成異常、先天性の心臓の欠陥、心臓疾患、うっ血性心不全、心臓弁膜症、心臓発作、硬膜外血腫、血種、硬膜下血腫、ヒッペル−リンダウ病、充血、高血圧、肺高血圧症、心臓肥大、左心室肥大、右心室肥大、左心低形成症候群、低血圧、間欠性跛行、虚血性心臓疾患、クリッペル−トレノーネイ−ウェーバー症候群、延髄外側症候群、QT延長症候群、僧帽弁逸脱、モヤモヤ病、粘膜皮膚リンパ節症候群、心筋梗塞、心筋虚血、心筋炎、心外膜炎、末梢血管疾患、静脈炎、結節性多発動脈炎、肺動脈閉鎖症、レイノー病、スネドン症候群、上大静脈症候群、症候群X、頻脈、高安動脈炎、遺伝性出血性毛細管拡張症、毛細管拡張症、側頭動脈炎、ファロー四徴症、閉塞性血栓血管炎、血栓症、血栓塞栓症、三尖弁閉鎖症、静脈瘤、血管疾患、血管炎、血管痙攣、心室細動、ウィリアムズ症候群、末梢血管疾患、静脈瘤および下腿潰瘍、深部静脈血栓、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群が挙げられる。]
[0103] 血管疾患は、多くの場合に、血管系の灌流が減少した結果、または血管の物理的な傷害もしくは生化学的な傷害の結果として生じる。]
[0104] 末梢血管疾患(PVD)は、四肢の血管が狭窄された場合に頻繁に引き起こされる血管の疾患と規定される。これらの抹消血管障害は主に2種類あり、血管における欠陥と関連せず、むしろ冷気、ストレスまたは喫煙といった刺激から生じる、機能的な疾患、ならびにアテローム硬化症の病変、局所的な炎症または外傷といった脈管構造の構造上の欠陥から生じる、器官的な疾患である。PVDは、血管の閉塞および異常な血流を引き起こし得、最終的に組織の虚血を引き起こし得る。]
[0105] 臨床的により重要なPVDの形態の1つは、末梢動脈疾患(PAD)である。PADは、多くの場合、血管形成術およびステントの移植によって、または動脈バイパス術によって治療される。PADの臨床症状は、閉塞した血管の位置に依存する。例えば、腸に血液を供給する動脈が狭窄された場合には、血管が閉塞したために、消化吸収の作用に要求される酸素の増加を満たせないため、食後に下腹部において激しい痛みが生じることがある。重篤な場合には、虚血によって腸の壊死が引き起こされ得る。同様に、脚部(通常はふくらはぎ)におけるPADは、活動にともなって現れては消える間欠的な痛みを引き起こし得る。この疾患は、間欠性跛行(IC)として知られ、安静時における持続性の痛み、虚血性潰瘍形成、および切断にまで進行し得る。]
[0106] また、末梢血管疾患は、腎虚血および腎臓の機能不全を引き起こし得る、腎動脈のアテローム性動脈硬化症にも現れる。]
[0107] 血管疾患およびこれらの合併症のうち、非常に一般的な疾患の1つは、真性糖尿病である。真性糖尿病は、種々の生理学的な異常、および解剖学的な異常を引き起こす。最も重大な異常は、身体が正常にグルコースを利用できないことであり、高血糖を引き起こす。慢性の糖尿病は血管系の合併症を引き起こし得る。血管系の合併症としては、アテローム性動脈硬化症、大型の血管および中型の血管が関係する異常(動脈硬化症病変(macroangiopathy))、ならびに微小血管(例えば、細動脈および毛細血管)が関係する異常(細小血管症)が挙げられる。]
[0108] 真性糖尿病に罹患している患者では、真性糖尿病の合併症(神経機能障害(ニューロパシー)および/または虚血)が長期間定着した結果として、足部潰瘍を1つ以上発症する危険性が高い。局所的な組織の虚血は、糖尿病患者の脚部における潰瘍化を助長する重要な因子である。]
[0109] 大型の血管の疾患に加えて、糖尿病に罹患している患者は、少なくとも2つのさらなる様式において、皮膚灌流に対する脅威をさらに受ける。第一の様式は、アテローム性動脈硬化症の進行によって悪影響を受けた非導管動脈の関与によるものであり、第一の様式よりも重要であると考えられる第二の様式は、微小循環を制御する機構の損傷(小型の血管の疾患)によるものである。正常には、身体の一部がいくつかの形態の外傷を受けている場合に、その身体の一部は、身体の治癒機構の一部として、血流の増加を経験する。多くの糖尿病患者に見られるように、小型の血管の疾患と虚血との両方が存在する場合に、自然に血流を増やすというこの応答は、相当に低減される。この事実は、血流が低レベルである間に微小循環系に凝血(血栓)を形成するという糖尿病患者の傾向とともに、潰瘍が発症する際の重要な因子であると考えられている。]
[0110] ニューロパシーは、神経系の機能障害を引き起こす疾患の過程を説明する総称であり、真性糖尿病の主な合併症の1つである。ニューロパシーは、対症療法または神経機能の進行性の低下の予防について、十分に確立された治療法のない疾患である。]
[0111] 糖尿病によって引き起こされる毛細血管の肥厚および漏出は、目(網膜症)および腎臓(ネフロパシー)に対して主に影響を及ぼす。また、糖尿病によって引き起こされる毛細血管の肥厚および漏出は、皮膚疾患および神経系の疾患(ニューロパシー)と関連する。]
[0112] 糖尿病と関連する眼疾患は、糖尿病の非増殖網膜症、糖尿病の増殖網膜症、糖尿病黄斑症、緑内障および白内障などである。]
[0113] 糖尿病との関連性は知られていないが、末梢血管系に対する生理学的な効果が糖尿病のものと類似している他の疾患もある。そのような疾患としては、レイノー症候群、クレスト症候群、エリテマトーデスといった自己免疫疾患、およびリューマチ様疾患などが挙げられる。]
[0114] 本明細書において使用される場合、用語「末梢血管疾患」は、末梢性ニューロパシーおよび自律神経性ニューロパシーを含むあらゆる末梢血管疾患を包含する。「末梢血管疾患」の例としては、慢性の動脈閉塞(動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症および閉塞性血栓血管炎(バーガー病)が挙げられる。)といった末梢動脈疾患、動脈硬化症病変、細小血管症、真性糖尿病、血栓性静脈炎、静脈塞栓症、レイノー病、レイノー症候群、クレスト症候群、振動に起因する健康被害、ズデック症候群、間欠性跛行、四肢における冷感、四肢における知覚異常、冷覚過敏、メニエール病、メニエール症候群、しびれ、感覚消失、無感覚症、安静時痛、カウザルギー(灼熱痛)、末梢循環機能の障害、神経機能の障害、運動機能の障害、運動麻痺、糖尿病性の末梢循環障害、腰椎管狭窄症、糖尿病性ニューロパシー、ショック、自己免疫疾患(エリテマトーデス、リューマチ様疾患および関節リューマチなど)、自律神経性ニューロパシー、糖尿病性の自律神経性ニューロパシー、自律神経失調症、起立性低血圧、勃起不全、女性性的機能不全、逆行性射精、膀胱症、神経因性膀胱、膣分泌液異常、運動不耐性、心臓除神経、熱不耐性、味覚性発汗、糖尿病合併症、高血糖症、無自覚性低血糖症、無反応性低血糖症;緑内障、血管新生緑内障、白内障、網膜症、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑症、網膜動脈閉塞症、網膜中心動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、黄斑浮腫、老年性黄斑変性症、老年性円盤黄斑変性症、類嚢胞黄斑変性、眼瞼浮腫、網膜浮腫、網脈絡膜症、新生血管黄斑症、ブドウ膜炎、虹彩炎、網膜血管炎、眼内炎、全眼球炎、転移性眼炎、脈絡膜炎、網膜色素上皮炎、結膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、角膜炎、眼瞼炎、滲出性網膜剥離、角膜潰瘍、結膜潰瘍、慢性貨幣状角膜炎、タイゲソン表層性点状角膜炎、進行性のモーレン潰瘍、皮膚の損傷、脚部潰瘍を含む皮膚潰瘍、糖尿病潰瘍、熱傷潰瘍、下肢潰瘍、術後潰瘍、外傷性潰瘍、帯状疱疹ヘルペス感染後の潰瘍、放射線潰瘍、薬剤によって誘導された潰瘍、凍瘡(凍傷)、霜焼け、壊疽および急性の壊疽、扁桃炎/異形扁桃炎、冠状動脈硬化症(慢性の虚血性心疾患、無症候性の虚血性心疾患、動脈硬化性心血管疾患)、心筋梗塞、心不全、うっ血性心不全および無痛性の虚血性心疾患、肺水腫、高血圧、肺高血圧症;門脈圧亢進症、糖尿病性ネフロパシー、褥瘡、腎不全が挙げられる。]
[0115] 本発明のペプチドまたはペプチドの組合せは、心臓および脈管の疾患および障害の、予防および/または治療における活性な治療剤としての効果について、実施例1〜7、9〜17に記載のアッセイを用いて試験された。]
[0116] 〔血管新生〕
血管新生は、既存の血管からの新たな血管の成長を包含する生理学的プロセスである。血管新生は、成長および発生ならびに創傷治癒における正常なプロセスである。しかし、この血管新生はまた、腫瘍が休眠状態から悪性の状態へと遷移する際に基本となるステップである。]
[0117] 血管新生は、十分に特徴付けられたいくつかの段階において生じる。第一に、血管新生増殖因子として知られる生物学的なシグナルが、既存の血管に存在する内皮細胞上の受容体を活性化する。第二に、活性化された内皮細胞は、プロテアーゼと呼ばれる酵素を放出し始め、基底膜を分解する。これにより、内皮細胞が元々の(親の)血管から脱出する。次いで、内皮細胞は、周囲のマトリックスの内部へ増殖し、近傍の血管を連結する固体の芽を形成する。芽が血管新生の刺激の供給源に向かって伸長するとき、内皮細胞は、インテグリンと呼ばれる接着分子を用いて移動する。その後、内皮細胞が血管新生の場へ移動すると、これらの芽はループを形成し、十分に成長した血管内腔となる。出芽は、数ミリメートル/日の速度で起こり、新しい血管が脈管構造のギャップを横切って成長することを可能にする。]
[0118] 治療用の血管新生は、疾患と闘うために、体内における新たな血管の生成を阻害または誘導し得る特定の化合物の適用である。存在するべきではない血管が存在することは、組織の機械的特性に影響を及ぼし得、機能不全の危険性が高まる。修復中であるか、さもなくば、代謝的に活性である組織に血管が存在しないことは、修復または他のいくつかの機能を遅延させ得る。血管の形成不全の結果または血管の形成が不十分である結果として、いくつかの疾患が生じる。このような疾患は、血管を局所的に拡張することによって治療され得、これにより、その部位に新しい栄養素が供給され、修復が促進される。他の疾患は、正常な生理学的プロセスを妨害する血管の局所的な拡張によって引き起こされ得る。]
[0119] 血管新生は、心脈管疾患などを治療するための優れた治療標的の代表例である。血管新生は、自然様式に根底をなす有力な生理学的プロセスであり、ヒトの身体は、生命維持に不可欠な臓器への血液の供給が減少することに対して応答する、すなわち、虚血性傷害を克服するために新たな側副血管を生成する。]
[0120] 「血管新生」の原理の、最新の臨床適用は、以下の2つの主な領域に分けることができる。
1.抗血管新生療法
2.血管新生促進療法。]
[0121] 抗血管新生療法は、以下の疾患と闘うために試みられている。
・多数の器官における、任意の型の癌および悪性腫瘍、ならびにこれらの転移(血管腫など)(なぜなら、腫瘍は一般的に、栄養依存性および酸素依存性であるが故に、血液の十分な供給を必要とするからである。)、
・感染症、
・自己免疫疾患における血管炎および過剰な血管新生(全身性硬化症(強皮症)、多発性硬化症、シェーグレン症候群など)、
・血管およびリンパ管における脈管奇形(ディジョージ症候群、遺伝性出血性毛細血管拡張症、海綿状血管腫、皮膚血管腫、リンパ管の奇形、移植片の動脈症、アテローム性動脈硬化症、血管吻合など)、
・肥満における脂肪組織、
・慢性の同種移植片拒絶、
・皮膚病(乾癬、イボ、アレルギー性皮膚炎、瘢痕ケロイド、化膿性肉芽腫、水疱を形成する疾患、AIDS患者におけるカポジ肉腫、全身性硬化症(強皮症)など)、
・眼疾患(硝子体過形成遺残症候群、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、脈絡膜新生血管など)、
・肺疾患(任意の型の肺高血圧症、喘息、鼻茸、鼻炎、気管支の慢性の炎症および閉塞(COPD)、嚢胞性線維症、急性肺損傷、抹消に器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎など)
・消化管病(炎症性腸疾患、歯周病、腹水症、腹膜癒着、肝硬変など)、
・生殖器系の疾患(子宮内膜症、子宮出血、卵巣嚢胞、卵巣過刺激など)、
・骨および関節の疾患(関節炎および滑膜炎、骨髄炎、骨棘の形成、HIVによって誘導された骨髄の血管新生など)、
・腎臓疾患(早期糖尿病性腎症など)
血管新生促進療法は、不十分な血管新生または血管の退縮によって特徴付けられる疾患またはこれらによって引き起こされる疾患を治療するための新たな選択肢を探索するに重要である:
・神経系疾患(アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、糖尿病性ニューロパシー、脳卒中など)、
・血管およびリンパ管の疾患(糖尿病性アンギオパシー、再狭窄における障害性の再内皮化、リンパ水腫など)、
・クローン病における胃腸潰瘍、口腔潰瘍、粘膜の虚血、
・皮膚病(狼瘡など)、
・生殖器系の疾患(子癇前症、月経過多など)、
・肺疾患(新生児呼吸窮迫症候群、肺線維症、気腫など)、
・腎臓疾患(ネフロパシー、糸球体硬化症、尿細管間質性線維症など)、
・骨疾患(骨粗鬆症、障害性の骨折治癒など)、
・心臓疾患(虚血性心臓疾患、心不全など)、
・任意の型の創傷治癒障害。]
[0122] 血管新生の研究はまた、癌研究における最先端の分野でもある。従来の治療法(放射線療法など)は、ゲノムが不安定である腫瘍細胞の区画よりも、むしろ、ゲノムが安定である内皮細胞の区画を標的化することによって部分的に機能し得る。新たな血管の形成は、様々なレベルでの破壊的な妨害に曝される、比較的に不安定なプロセスである。端的に言えば、治療は、細胞の区画を殺すために使用される選択剤である。腫瘍細胞は、一世代の寿命が短く(数日)、かつゲノムが不安定である(変わりやすい)ため、耐性を迅速に獲得し、その一方で、内皮細胞は、一世代の寿命が長く(数ヶ月)、ゲノムが安定である(変化が少ない)ため、良好な標的である。]
[0123] 血管新生に基づく腫瘍治療法は、天然および合成の血管新生阻害剤(アンギオスタチン、エンドスタチンおよびタムスタチンなど)に依存している。これらは、既存の構造タンパク質(コラーゲンまたはプラスミノーゲンなど)に主に由来する、特定のフラグメントとしてのタンパク質である。]
[0124] 近年、癌において血管新生を標的とした治療が、FDAによって初めて認可され、米国の市場に登場した。これは、VEGFのアイソフォームに対するモノクローナル抗体であり、この治療は、確立された化学療法と組み合わせて、大腸癌に使用するために承認された。それ故、血管新生の分野において、さらなる医薬が医学的に広範に必要とされている。]
[0125] さらに、組織工学の観点から、血管移植片における血管新生に作用する医薬が必要とされている。毎年、450,000を超える血管移植片が、冠動脈バイパス形成手術に使用されている。血管移植片のための他の使用は、血管の動脈瘤および血管瘻の治療、ならびに、身体の他の場所に存在する病的な動脈の交換を包含している。可能であれば、交換用血管の最良の選択肢は自家移植片である。この場合、患者の健康な血管(通常は静脈である。)の一部分が採取され、必要とされる場所に移植される。しかし、多くの患者、特に、血管疾患に既に罹患している患者または既に自家移植片の手術を受けた患者は、交換物として適切に機能するに十分健康な血管を有していない。これらの場合に、最も一般的な治療形態は、合成ポリマー材料を使用して、損傷した血管用の永続性の交換物または再吸収可能な交換物を形成することであった。この合成ポリマー材料としては、例えばePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)およびダクロン(ポリ[エチレンテレフタラート])が挙げられる。移植片の直径が大きくなり得る(5〜6mmを超える)場合、上述した合成材料は効果的であった。しかし、より小さい直径の血管が必要とされる状況では、狭窄および血栓が高頻度で形成されるため、合成材料は使用することができない。1つの可能性のある解決策は、合成材料で改変された天然材料(コラーゲンなど)または合成材料と組み合わせられた天然材料(コラーゲンなど)を使用して、身体の本来の機能をより忠実に模倣し、血栓形成性が低く、そして狭窄の発生率が低い移植片を形成することである。]
[0126] 自家移植片の機能不全は、通常、内腔の狭窄によって生じる、いくつかの形態の閉塞に起因する。除去および再移植の間の血管の損傷は、自家移植片の壁に付着する因子または細胞の集積を引き起こし得、内腔の直径の減少を引き起こし得る。次いで、流れが制限されることによって、血栓形成性が増強され、完全な閉塞が起こる可能性がより高くなる。他の問題は、自家移植片の調製および保存である。この調製および保存の手順は、血管の損傷をもたらすこと、またはインビボにおける性能を低下させることがある。最後に、増加したおよび/または異なる機械的な力に起因して、内皮細胞は収縮し得、バリア性能を低下させ、さらに内皮細胞は劣化し得る。このこともまた、血栓形成性を増強する。血栓形成を減少させるために、抗凝固薬が必要である。これらの抗凝固薬の使用は、多くの場合、望まれない全身性の副作用を招き、非常に問題となり得る。それ故、合成材料は、直径の小さい血管移植片にとって不向きな選択である。]
[0127] 生物学的な材料を合成の血管移植片へ組み込むことによって、この血管移植片が機能することを保障することに役立つように、宿主応答は調節され得る。合成の血管移植片用の材料としてコラーゲンを使用することは、極めて有望である。なぜなら、コラーゲンは生分解性であるとともに、良好な機械的特性を有しているからである。コラーゲンは生分解性であるため、デバイスが分解するときに、組織はこのデバイスの中へ増殖することができる。このことは有利である。なぜなら、理想的には、コラーゲンの移植片が分解するときに、新たに形成された組織がこの移植片を置換し、これによって、移植されたデバイスから新たに形成された組織へ、ストレスを徐々に伝達することになるからである。]
[0128] コラーゲンの血管移植物の材料の内腔を内皮細胞がコートするように、この材料が内皮細胞とともに播種される場合、この材料の表面は、理論的には、より生体適合性である。近年、内皮細胞は、コラーゲンの、直径が小さい血管移植片上にて培養されている。このため、生分解性ペプチドをコラーゲンの血管移植物の材料へ組み込むことによって、内皮細胞を、この材料の頂部上に播種して、内皮細胞から構成された内腔表面を生成し、天然の生物学的環境をより忠実に模倣することができる。生体材料上での内皮細胞の移動は、移植可能なデバイスの開発に非常に重要である。これらの細胞の特性は、移植の成功に重要である、再内皮化および血管新生の速度を制御する。]
[0129] 血管新生は、新たな血管が既存の脈管構造から形成される、複雑で多段階のプロセスである。このプロセスにおける重要な2つのステップは、内皮細胞の移動および新たなチューブへの内皮細胞の集合である。過去10年間において、血管新生のプロセスに関わる多種多様な分子調節因子が同定された。例えば、受容体チロシンキナーゼは、内皮細胞の集合および移動に重要な役割を担っている血管新生調節因子のファミリーである。]
[0130] 本発明のペプチドは、心臓および脈管の疾患および障害の、予防および/または治療、ならびに増加または減少した血管新生に依存する疾患および障害の予防および/または治療における活性な治療剤としての効果について、実施例1〜7、9〜17に記載のアッセイを用いて試験された。]
权利要求:

請求項1
医薬に使用するための、式Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-Trp-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2を有する、ペプチド。
請求項2
式Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-D-His(Bzl)-D-Leu-Arg-Pro-NHEtを有するペプチドと組み合わせて医薬に使用するための、請求項1に記載のペプチド。
請求項3
Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-Trp-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2のペプチドまたはその塩もしくは水和物と、Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-D-His(Bzl)-D-Leu-Arg-Pro-NHEtのペプチドまたはその塩もしくは水和物との、組合せ。
請求項4
上記ペプチドが、上記組合せ中に30重量%:70重量%〜70重量%:30重量%の量で含まれている、請求項3に記載の組合せ。
請求項5
医薬に使用するための、請求項3または4に記載の組合せ。
請求項6
癌、自己免疫疾患、線維性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、感染症、肺疾患、心臓および脈管の疾患ならびに代謝性疾患を予防および/または治療するための薬学的組成物を製造するための、請求項1もしくは2に記載のペプチドまたは請求項3もしくは4もしくは5に記載の組合せの、使用。
請求項7
上記癌、上記自己免疫疾患、上記線維性疾患、上記炎症性疾患、上記神経変性疾患、上記感染症、上記肺疾患、上記心臓および脈管の疾患または上記代謝性疾患が、肺炎連鎖球菌感染症、肺炎連鎖球菌感染症関連疾患、溶血性尿毒症症候群、肺炎、髄膜炎、嚢胞性線維症の合併症、中耳疾患、血流の感染症から選択される、請求項6に記載の使用。
請求項8
新生児、幼児および/または乳児へ経口投与するための製剤を調製するための、請求項1もしくは2に記載のペプチドまたは請求項3もしくは4もしくは5に記載の組合せの、使用。
請求項9
凍結乾燥された製剤または緩衝化された液剤を調製するための、請求項1もしくは2に記載のペプチドまたは請求項3もしくは4もしくは5に記載の組合せの、使用。
請求項10
請求項1に記載のペプチドまたは請求項3に記載の組合せを、少なくとも1つの、薬学的に受容可能なキャリア、凍結保護剤、分散保護剤、賦形剤および/または希釈剤とともに含んでいる、薬学的組成物。
請求項11
凍結乾燥物または緩衝液の形態である、請求項10に記載の薬学的組成物。
請求項12
静脈内投与、経口投与または吸入による投与に適している、請求項10または11に記載の薬学的組成物。
請求項13
新生児、幼児および乳児に対する経口送達に適した人工母乳製剤の形態または母乳代替物の形態である、請求項10、11または12に記載の薬学的組成物。
請求項14
癌、自己免疫疾患、線維性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、感染症、肺疾患、心臓および脈管の疾患あるいは代謝性疾患の予防および/または治療に適している、請求項10、11、12または13に記載の薬学的組成物。
請求項15
ヒトを包含する哺乳動物の癌、自己免疫疾患、線維性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、感染症、肺疾患、心臓および脈管の疾患または代謝性疾患を治療するための方法であって、該癌、該自己免疫疾患、該線維性疾患、該炎症性疾患、該神経変性疾患、該感染症、該肺疾患、該心臓および脈管の疾患または該代謝性疾患を治療するために効果的なPyr-His-Trp-Ser-Tyr-Trp-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2のペプチド、またはその塩もしくは水和物を、薬学的に効果的な量で該哺乳動物に投与する工程を含んでいる、方法。
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
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